2021年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2285万5千件で、過去最高だった2008年分(2369万3千件)を3.5%下回っている。それでも2011年分以降はほぼ横ばいで推移しており、こうした2千万件を超える納税者数に対応するために、国税庁は、確定申告における基本方針として、「自書申告」を推進、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1809万1千人にのぼり、2020年分より4.8%増加。所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は前年分より2.4ポイント上昇の79.2%に達した。贈与税の申告でも、提出人員53万2千人のうち83.2%(44万2千人)がICTを利用、その割合は前年分から1.4ポイント上昇している。
署でのICT利用は、署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」270万3千人、同「書面での提出」40万7千人の計311万人で、前年分に比べ▲9.8%減少。一方で、自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」435万4千人、「同e-Taxで提出」425万人、「民間の会計ソフトで作成してe-Taxで提出」498万人の計1358万3千人で同8.2%増と、自宅等でのICT利用が増加している。
e-Taxでの所得税の申告書提出件数は、前年比7.5%増の1332万9千人となり、所得税の確定申告書の提出人員の約6割(58.3%)がe-Taxを利用したことになる。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、自宅からスマホを使った申告人員が152万8千人で前年分(169万3千人)から約1.5倍に増えた。マイナンバーカードを利用したスマホ申告も85万1千人で前年分(43万2千人)から約2倍に増加した。
このように、ICTを活用した施策は大きく伸びたが、閉庁日における申告相談は今回も2月20日と2月27日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場・広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比17.7%増の11万3千件、申告書収受件数は同14.3%増の15万2千件と増加し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響での外出自粛下でも一定の効果を上げる結果となった。