ニッセイ基礎研究所は、2020年婚姻統計分析結果から「ニッポンの再婚」最新データを紹介したレポートを発表した。それによると、まず、2020年の婚姻総数に占める再婚者を含む結婚(いずれかが初婚も含まれる)の割合は26.7%で、全体の約4分の1を占める。再婚者を含む結婚割合の年次推移は、戦後まもなくの1952年は18.8%と比較的高いが、これは戦争により配偶者喪失などによる再婚が影響していたのではないかとみている。
その後、1960年から1981年までは再婚者含みの結婚の割合は概ね11%~15%の範囲で推移し、決して多いとまでいえる水準ではなかった。ところが、バブル期にあたる1980年代後半になると再婚割合は上昇し、18%台に達する。その後、再婚割合は着実に上昇し、1999年に20%を超え、2005年には初めて25%に達した。とはいえ、2012年以降は26%台で推移しており、概ね横ばいの水準を維持している。
最後に、よく耳にする「コロナ禍で婚姻数が減少」について触れている。そもそもコロナ禍に関係なく、日本の婚姻数は激減傾向が続いている。1970年から2020年までの半世紀で、総婚姻数は約103万件から約53万件へと51%水準にまで半減。コロナ禍前の2019年との比較でも約60万件へと58%水準にまで減少していた。ただし、婚姻総数の激減に影響したのは、初婚・再婚のパターンで精査すると特定の組合わせであることがわかる。
50年間にわたる相関分析結果からは、日本の結婚の大激減は初婚カップルの大激減だといえる。再婚に関してはどのような組合わせであっても、再婚カップルが増えるほど、婚姻総数は負の関連性をもって逆に減少していくことが示されている。統計的に言えるのは、再婚者が増えるほどに、全体の婚姻数が下落する傾向が明確であり、再婚者支援は未婚少子化対策とは逆の結果につながりやすい。
再婚者が増えるほどに総婚姻数は下落する、という状況の背景にある原因の1つとして、40代以降の結婚がほぼ再婚者の結婚である、という事実を挙げている。周囲で見聞きする結婚に含まれる再婚割合が増えるという状況は、「中年になっても、自分は結婚できる」という印象を与えやすいからだ。それが果たして未婚者同士の結婚なのか、までは深く考えずに、結婚の先延ばしに都合のいい解釈を与えてしまう環境リスクが高まるのだ。
したがって、40代以降の結婚希望のある未婚者のなかには、「婚期を遅らせても、いつかは結婚できるのではないか」といった統計的には甘過ぎる期待感を抱く者は少なくない。中年期以降の結婚の発生条件に「再婚男女が多く含まれている」ということを看過してしまっているのだ。レポートは、「結婚支援を行う現場の支援者からは『男女ともにもっと早い年齢で相談に来てくれれば』という悩みを非常に多く聞く」との伝聞で締めている。
レポートの全文は↓https://www.nli-research.co.jp/files/topics/71178_ext_18_0.pdf?site=nli