国税庁はこのほど、インボイス制度の「多く寄せられるご質問」を更新し、2問を新たに追加したが、その一つに「クレジットカードにより決済されるタクシーチケットに係る回収特例の適用」がある。これは、クレジット会社が発行する利用明細書は、インボイスまたは簡易インボイスに該当しないことから、実務家の間でタクシーチケットのインボイス対応に疑義が生じていたため、その対応を明らかにしたものだ。
問いは「当社は、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットを利用している。そうしたタクシーチケットは、タクシー事業者等が発行しているものとは異なり、クレジットカード利用明細書しか送られてこず、また、タクシーチケット自体取引先等に手交していることから、タクシー利用の際に交付を受ける適格簡易請求書の保存をすることもできない。この場合、当社は仕入税額控除の適用を受けるためにどうすべきか」というもの。
これに対し、クレジットカード会社が発行しているタクシーチケットにつき、その使用された金額について仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、その使用に当たってタクシー事業者(当該タクシー事業者に係る事業者団体など、個々の契約等により当該タクシー利用に係る課税売上を計上すべきこととされている者を含む)から受領した適格簡易請求書の保存が必要となる、と指摘した。
しかし、タクシーチケットは、自社の従業員等の利用だけでなく、接待などで取引先等に手交され利用してもらうことも多い。その場合には、タクシーチケットを利用した取引先からタクシーの簡易インボイスを後から回収することは社会通念上困難であり、適格簡易請求書の保存が困難と考えられる。そのため、クレジット会社が発行するタクシーチケットのインボイス対応に疑義が生じていた。
そこで国税庁は、受領したクレジットカード利用明細書や利用されたタクシー事業者のホームページ等に記載された内容等に基づき、利用されたタクシー事業者が適格請求書発行事業者であることが確認できる場合には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている証票が使用の際に回収される取引に係る「回収特例」として、帳簿のみの保存により仕入税額控除の適用を認めることを示した。
なお、適格請求書発行事業者以外のタクシー事業者の利用であったことが確認された場合には、タクシー利用時に受領した領収書(未収書等)や、別途タクシー事業者から発行を受けた書類など、区分記載請求書の記載事項を満たした書類及び一定の事項を記載した帳簿の保存があれば、仕入税額相当額の一定割合(80%、50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができるとしている。