東京商工リサーチがこのほど発表した「2023年度上半期(4~9月)の『後継者難』倒産調査」結果によると、本年度上半期の「後継者難」倒産は222件(前年同期比8.2%増)で、年度上半期では4年連続で前年同期を上回り、最多を更新したことが明らかになった。コロナ禍での支援策が奏功し、年度上半期の企業倒産はコロナ禍の2020年度同期、2021年度同期と2年連続で減少した。
一方、「後継者難」倒産は、2019年度同期の124件を底に、2020年度同期から4年連続で前年同期を上回って推移。2023年度同期の「後継者難」倒産では、代表者の「体調不良」を要因とした倒産は、コロナ禍前の2019年度同期から急増(42→88件)している。代表者の高齢化が進み、コロナ禍で先行きの見通しが立たず、事業承継の準備が後回しとなっている。後継者の有無は、事業継続の重要な課題でもあり、今後の推移が注目される。
要因別件数は、最多が代表者の「死亡」の97件(前年同期比▲18.4%減)で、4年ぶりに前年同期を下回り、年度上半期では3年ぶり100件割れとなった。次いで、「体調不良」が88件(同54.3%増)と前年同期の1.5倍に急増。2年連続で前年同期を上回り、2013年以降の年度上半期では過去最多になった。「死亡」と「体調不良」の合計は185件(同5.1%増)で、4年連続で前年同期を上回り、全体の83.3%を占めた。
産業別でみると、10産業のうち、5産業が増加。最多が「サービス業他」の62件(前年同期比21.5%増)で、年度上半期では3年連続で前年同期を上回り、初めて60件台に乗せた。次いで、「建設業」が57件(同39.0%増)で4年連続、「小売業」が26件(同18.1%増)で3年ぶり、「不動産業」が7件(同40.0%増)で2年ぶり、「金融・保険業」が2件(前年同期1件)で2年連続、それぞれ前年同期を上回った。
形態別では、「破産」が210件(前年同期比8.8%増)で、年度上半期では4年連続で前年同期を上回った。構成比は94.5%となり、3年連続90%台で推移。中小・零細企業では、人的リソースが乏しく、代表者が営業から経理まで経営全般を担当しているケースが少なくない。そのため、代表者に不測の事態が発生した場合、代わりに業務を遂行できる人材もなく、事業継続を諦め、債務整理のため破産を選択している。
資本金別では、「1千万円未満」が138件(前年同期比9.5%増)で、年度上半期では4年連続で前年同期を上回った。構成比は62.1%。このほか、「1千万円以上5千万円未満」が80件(前年同期比12.6%増)で、2年ぶりに前年同期を上回った。一方、「5千万円以上1億円未満」が4件(同42.8%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。また、「1億円以上」は4年ぶりに発生がなかった。
同調査結果は