6割超が「時間外労働の割増賃金率引上げ」に肯定的

 エン・ジャパンが、運営する人事向け情報サイト『人事のミカタ』上で従業員数299名以下の企業の人事担当者を対象に実施した「割増賃金率引上げに関する調査」結果(有効回答数549社)によると、2023年4月から中小企業も「月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率」が25%から50%に引き上げになることの認知度は、80%の中小企業が「知っている」(「内容も含めて知っている」36%、「概要だけ知っている」44%)と回答した。

 同法案で、月60時間を超える時間外労働を深夜帯(22:00~5:00)に行わせる場合、「深夜割増25%+時間外割増50%=75%」になることに関しては、72%が「知っている」 (「内容も含めて知っている」33%、「概要だけ知っている」39%)と回答。月60時間を超える時間外労働を行った社員の健康を確保するため「割増賃金の代わりに有給の代替休暇を付与可能」になったことの認知度は48%(同18%、30%)にとどまった。

 割増賃金率引上げへの対応状況は、「既に必要な対応を完了した」と回答した中小企業は11%。対応方法が決まっている中小企業は29%(「現在取り組んでいる最中」20%、「対応が決まり、これから取り組む予定」9%)。「対応方法を検討中(情報収集中)」の企業は27%となり、春までに準備を急ぐ企業が多い結果となった。また、対応方法(複数回答)では、上位が「時間外労働の削減」(34%)、「社員の労働時間の把握」(31%)となった。

 「時間外労働の割増賃金率の引上げ」についての中小企業の人事担当者の考えは、65%が「良いと思う」(「非常に良いと思う」14%、「まあ良いと思う」51%)と回答。具体的な理由では、「従業員の立場では、一定時間以上の時間外労働に対する報酬としては妥当だと思う。経営者の立場では業務分担やフロー、社員人数の見直しなどの問題に向き合わなければならないと感じる」(廃棄物収集運搬業/30~49名)との声が寄せられている。

 現在の平均時間外労働時間は、62%の中小企業が20時間以内(「0時間」4%、「1~20時間」58%)だった。時間外労働が発生する主な要因(複数回答)は、トップ3が「人員不足だから」(45%)、「時季的な業務があるから」「取引先からの要望(納期など)に応えるため」(同率44%)。平均すると時間外労働が60時間以内の企業がほとんどだが、時季や納期などによっては本法案の影響がみられる企業もあった。

 同調査結果は

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/32081.html