信金中央金庫が発表した経済見通しによると、実質成長率は、22年度1.3%、23年度1.1%、24年度1.2%と予測している。個人消費は前期比0.5%増と7~9月の0.03%増から伸びを高めた。全国旅行支援の効果で宿泊旅行が回復したほか、供給制約の緩和を受けて自動車を中心に耐久財の消費が増えた。ただ、世界経済の減速を受けて製造業の景況感が悪化したため、設備投資は前期比0.5%減と3四半期ぶりにマイナスとなった。
輸出は前期比1.4%増加。中国向け輸出は落ち込んだが、水際対策の緩和によるインバウンド需要の回復が寄与した。輸入が減少に転じたこともあり、輸出から輸入を差し引いた純輸出は、年率換算の実質成長率を1.4%ポイント押し上げた。また、世界経済の減速が下押し要因となるが、個人消費を支えに景気回復が続く。感染「第8波」の沈静化を受けて外出行動が持ち直しており、サービス消費は回復の勢いを取り戻しつつある。
一方、設備投資の減速や輸出の伸び悩みで製造業を中心に企業活動が弱含んでいる。今年1~3月は強弱要因がせめぎ合う格好で、国内景気は方向感を見極めにくい展開が続くとみられる。ただ、米欧に比べてコロナ禍からの回復が遅れている分、日本経済には回復の余地が残されている。世界経済の減速が下押し要因となるものの、日常を取り戻そうとする家計行動が広がることで国内景気は回復の動きを維持すると予想される。
2022年度の実質成長率は1.3%と前回予測(1.6%)から下方修正した。新型コロナウイルスの感染再拡大でサービス消費の回復ペースが想定よりも緩慢にとどまっているためだ。また、世界経済の減速で輸出が停滞するとの見方を強めたため、23年度の実質成長率も前回の1.2%から1.1%へ下方修正した。今回から予測対象とした24年度の実質成長率は1.2%と予測。輸出をけん引役に景気回復ペースはやや高まると想定している。
なお、実質GDPが、コロナ禍前の平均的な経済活動レベル2019年の水準を上回るのは23年7~9月で、24年度には正常な経済活動を取り戻し、個人消費はコロナ禍前の水準を明確に上回ると予測。世界経済が持直しに向かうことで輸出が回復し、輸入を差し引いた純輸出の寄与度はプラスに転じると予想。コロナ禍の落込みに伴う反動増が一巡するため、各需要項目とも伸び率は鈍化しようが、実感を伴った景気回復局面を迎えると想定する。
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https://www.scbri.jp/PDFkeizaimitousi/PDFkeizaimitousi/scb792022J05.pdf