DX推進レベルでリスキリング取組み状況にギャップ

 2022年10月に閣議決定された政府の総合経済対策では、「構造的賃上げと成長力の強化を図り、官民連携のリスキリングと成長分野への投資推進、人への投資の支援パッケージを5年間で1兆円へ拡充」の方針が掲げられた。リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する・させること」と定義される。

 帝国データバンクが発表した「リスキリングに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1621社)によると、リスキリングの取組みを1つ以上実施している企業は全体の48.1%、「特に取り組んでいない」企業は 41.5%だった。DXに取り組んでいる企業のリスキリング取組割合が81.8%にのぼる一方、DX未取組み企業は32.2%にとどまり、DX推進とリスキリング取組み状況の間で一定の相関がみられることが浮き彫りとなった。

 DX取組み企業のうち、リスキリング取組み内容(複数回答)は、オンライン会議システムなど「新しいデジタルツールの学習」56.8%、「eラーニング、オンライン学習サービスの活用」35.3%と、日々の業務に直結する取組みが上位に並ぶ。一方、DX未取組み企業のうち、取組み内容上位には、「経営層による新しいスキルの学習、把握」41.5%、「経営層から従業員に学習が必要なスキルを伝達」29.1%と経営層の学習に関連するものが挙がった。

 規模別にみると、「大企業」のリスキリング取組み状況60.4%に対し、「中小企業」は45.8%にとどまった。取組み内容(複数回答)は、「新しいデジタルツールの学習」が大企業58.1%・中小企業 46.0%、「e ラーニング、オンライン学習サービスの活用」は同39.6%・同25.4%と差が開いた。新しいデジタルツールや e ラーニングの導入には、一定の資金や人的コストを要することから、他項目に比べて規模による取組み状況の差が顕著となった。

 リスキリング取組み割合の上位3業種は、「広告関連」69.2%、「情報サービス」67.5%、「金融」62.1%。下位3業種は、「娯楽サービス」34.2%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」38.6%、「メンテナンス・警備・検査」39.2%だった。また、「従業員のデジタルスキルの把握、可視化」の取組み内容では「広告関連」が51.4%と全業種で最も高く、2位の「精密機械、医療機械・器具製造」(44.1%)と大きな開きがあった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p221109.pdf