政府が検討している「資産所得倍増プラン(案)」が、25日に開催された新しい資本主義実現会議の資産所得倍増分科会で示された。少額投資非課税制度(NISA)の総口座数を今後5年間で3400万口座、投資額を56兆円と、いずれも現状(6月末現在で1703万口座、28兆円)から倍増させる目標を掲げた。そのため、NISAの抜本的拡充を柱に「貯蓄から投資」の流れを促す。
目標の実現に向け、制度を恒久化し、非課税期間も無期限とした上で、年間投資枠の上限も引き上げる。現在、NISAは一般NISA(一人当たり120万/年、5年間非課税)とつみたてNISA(一人当たり40万円/年、20年間非課税)が成年向けの制度として存在する。現在では、2024年に一般 NISAが見直され、2028年までの投資可能期間の期限を設定した新NISAに変更される予定となっている。
また、つみたてNISAは投資可能期間の期限が延長され、2042年までの期限が設定されている。他方、NISA制度が時限的な措置として設けられている限り、制度の終了が意識されることで長期的な投資が行いにくいという指摘が個人投資家等からなされている。そこで、NISA制度を恒久化することによって、中間層を中心とする層が将来にわたって安定的に資産形成を行う環境を整備する。
NISAの非課税保有期間については無期限化とする。一般NISAでは投資開始の5年後、投資開始の20年後まで、投資から得られる利益(配当金、分配金、譲渡益等)が非課税となっている。だが、非課税期間に期限が存在することで、長期で保有を継続するというインセンティブが生じにくい制度となってしまっている。そこで、非課税となる期間について無期限とし、金融商品の長期保有へのインセンティブを抜本的に強化する。
さらに、一般NISA・つみたてNISAの投資上限額を増やす。現在、NISAにおける非課税での年間投資枠の上限は、一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円となっている。その非課税での投資の上限額の増加を図り、資産所得の倍増の目標の達成に向けて、家計の投資環境を整備する。そのほか、2024年から施行される新NISA制度への移行を見直すことや、NISAの手続きの簡素化がある。
一般NISAは2023年末に廃止し、原則1階部分において積立投資を行った場合に限り2階部分で一般NISAの投資を行うことが可能となる2階建ての新NISA制度に移行する予定となっている。しかし、制度が複雑になるとの声もあり、簡素でわかりやすく、使い勝手のよい制度とする観点から、新NISA制度については、その施行を見直し、現在検討中のNISAの制度の拡充を行うとしている。
資産所得倍増プラン(案)はhttps://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/sisanshotoku_dai3/siryou1.pdf