国税庁が公表した「2021事務年度の所得税等調査」結果によると、今年6月までの1年間の所得税調査は、前事務年度に比べ19.4%増の60万件行われた。そのうち、約53%に当たる31万7千件(前事務年度27万9千件)から29.1%増の7202億円の申告漏れ所得を見つけた。その追徴税額は44.5%増の1058億円。1件平均120万円(同111万円)の申告漏れに対し18万円(同15万円)を追徴した。
実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前事務年度に比べ28.6%増の2万4千件を実施、うち約90%に当たる2万2千件から40.1%増の総額3882億円の申告漏れ所得を見つけ、51.2%増の777億円を追徴。件数では全体の4%に過ぎないが、申告漏れ所得金額は全体の53.9%を占めた。調査1件当たりの申告漏れは1613万円と、全体平均の120万円を大きく上回る。
また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前事務年度比44.2%増の7千件行われ、うち5千件から42.3%増の316億円の申告漏れを見つけ、26億円を追徴。1件当たり平均申告漏れは431万円。一方、簡易な接触は、18.8%増の56万8千件行われ、うち29万件から16.2%増の3004億円の申告漏れを見つけ254億円を追徴。1件当たりの平均申告漏れは53万円だった。
実地調査トータルでは、前事務年度比31.9%増の3万1千件の調査を行い、うち2万7千件から40.3%増の4198億円の申告漏れを見つけ、804億円を追徴。つまり、実地調査件数は全体の5.2%と1割にも満たないが、申告漏れ所得全体の6割弱(58.3%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることが裏付けられた。
このように、実地調査の件数は、回復傾向にあるが、新型コロナ感染症の影響で依然として低水準の一方、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、追徴税額の総額は、新型コロナ感染症影響前の水準に近接した。なお、業種別1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種は、「経営コンサルタント」(2266万円)、「システムエンジニア」(2150万円)、「ブリーダー」(2136万円)の3業種がワースト3だった。
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https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf