2021年度法人の黒字申告割合35.7%で2年ぶりに上昇

 今年6月末現在の法人数は前年から2.0%増の328万3千法人で、うち2021年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同1.8%増の306万5千法人だったことが、国税庁がこのほど発表した2021事務年度の法人税等の申告事績で分かった。その申告所得金額は同13.3%増の79兆4790億円、申告税額の総額も同14.9%増の13兆9232億円とともに2年連続で増加。申告所得金額の総額は過去最高となった。

 法人の黒字申告件数は109万3千件(前年対比3.8%増)で、黒字申告割合は前年度を0.7ポイント上回る35.7%で2年ぶりに上昇し、2014年度以降8年連続で30%台となった。ただし、法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から29年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比9.2%増の7273万2千円だった。

 一方で、申告欠損金額は前年比▲29.0%の16兆8427億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同▲29.5%の853万9千円と、ともに大幅に減少。ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2021年度は約51%まで減少している。申告所得金額が大幅に増加する一方、欠損金額も大幅に減少したことは、新型コロナ感染拡大の影響がやや薄まり、黒字企業、赤字企業ともに業況が回復した結果とみられている。

 また、今年6月末現在の連結法人数は、親法人が1993法人(前年対比▲0.3%)、子法人が1万6170法人(同4.2%増)の計1万8163法人(同3.7%増)だった。このうち、7月末までに申告した親法人は1946法人(同1.4%増)で、その黒字申告割合は前年度に比べ3.3ポイント増の61.4%。申告所得金額は同35.4%増の18兆7208億円の大幅増となる一方、申告欠損金額は同▲44.0%の2兆4395億円と大幅に減少する結果となった。

 連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数1万6755件(前年対比3.1%増)のうち、黒字分は64.3%にあたる1万772件(同7.7%増)、赤字分が5983件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は6割強に達し、総個別所得金額も22兆6634億円(同37.6%増)にのぼる。企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいことがうかがえる。

 なお、2021年度の法人税申告におけるe-Taxの利用件数は256万8千件で、前年度比5.9%増加し、利用率は前年度を1.2ポイント上回る87.9%まで上昇。この要因として、2020年4月からの大法人へのe-Tax義務化が大きいが、国税当局による大法人を含む全ての法人に利用を促すために順次実施してきた、データ形式の柔軟化や提出方法の拡充、提出先の一元化、認証手続きの簡便化等の環境整備も効果が出ているようだ。

 2021事務年度の法人税等の申告事績の概要はhttps://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/hojin_shinkoku/pdf/hojin_shinkoku.pdf