帳簿提出がない場合等の加算税加重措置でQ&A公表

 国税庁はこのほど、「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」をHP上に公表した。2022年度税制改正により、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履行を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に防止するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられた。このQ&Aは、帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関して、その概要や適用上の留意点等を取りまとめたもの。

 同措置は、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税、法人税・地方法人税又は消費税に係る修正申告書等の提出、更正・決定があるよりも前に、国税庁等の職員から帳簿の提示・提出を求められたにもかかわらずその帳簿を不提示又はその記載が不十分である場合、帳簿に本来記載等をすべき事項に関する申告漏れ等に対して課される通常の過少申告加算税・無申告加算税の割合を10%又は5%加重されるというもの。

 Q&Aは、「制度の概要」、「対象となる者・売上の範囲」、「帳簿の範囲」、「帳簿の不提示・不提出」、「帳簿の記載等が不十分である場合」、「加重対象となる非違の範囲」に係る20問を掲載。例えば、制度の適用開始時期について、2024年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税等、消費税について適用されることから、申告所得税は2023年分から、法人税等は2023年10月決算期分からとなると説明している。

 また、帳簿の範囲では、個人事業や個人についての一定の書類が帳簿として認められるかどうかについての内容などもわかりやすく説明。そのほか、「いつまでに帳簿の提示等をしなかった場合に加算税が加重されることとなるのか」や「売上について、売上帳における記載等は不十分である一方、現金出納帳等の他の帳簿においては正しく記載等がされていた場合も加算税の加重対象となるのか」などの質問も盛り込まれている。

 なお、同Q&Aの冒頭で国税庁は、1年間に生じた所得や課税期間における課税標準を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があるが、記帳に当たっては、会計ソフトを利用することにより、日々の取引内容を入力するだけで、複式簿記による帳簿でも簡単に記帳することができるので、会計ソフトを利用した帳簿の作成を検討するよう呼びかけている。

帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&Aはhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0022009-072_01.pdf