会計検査院、雇用調整助成金等の不適切支給を指摘

 会計検査院はこのほど、「雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施について」を公表し、厚生労働省に対して新型コロナウイルス感染症対策での雇用調整助成金と休業支援金などの支給について、不適切支給が3億1719万円あったとして、支給後に不正受給の有無等の事後確認を徹底するなどの改善を求める処置要求を行ったことを明らかにした。

 検査院は、コロナ禍で事業主が従業員を休ませて休業手当を支払った場合に、労働局が事業主に対して助成する「雇用調整助成金」(従業員が雇用保険被保険者でない場合は「緊急雇用安定助成金」)及び事業主が従業員を休ませたのに休業手当を支払わない場合に、労働局が従業員からの申請に基づき直接支給する休業支援金(同「休業給付金」)に関して、2020年・21年度に支給決定した約5兆8千億円分を対象に検査を実施した。

 その結果、データが十分に活用されておらず、(1)事業主や従業員からの虚偽申請とみられるケースを含め雇用調整助成金と休業支援金を重複支給していた事態の有無に関する事後確認が適切に行われていないケースが合計1億6133万円分、(2)過失も含め同じ従業員が同じ月分の休業給付金の二重支給の有無に関する事後確認が行われていないケースが合計2271万円分あったことを把握した。

 また、厚生労働省が行っていた雇用調整助成金を支給した事業主への実地調査の対象とするに当たり、その範囲がリスクの所在等を踏まえて設定されておらず、不正受給との情報提供や疑いがある場合に限定していたが、検査院が対象外の事業主への調査を行った結果、取引先の関係者の名前を利用して従業員が休業したように装うなどにより合計1億3315万円の不正受給があったことも判明した。

 これらの結果を踏まえ厚生労働省に対して、今回の助成金及び支援金が労働者の雇用の維持等をするために迅速な支給が求められていたものの、同省が保有している支給先などのデータが生かされておらず、データを活用するなどして重複支給や二重支給の有無を事後確認することとして、不正を明らかにする具体的な方法を策定する改善措置や、不正が認められた事業所などに返還させる措置を講ずるよう要求した。

 この件は↓

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/4/r040804.html