創業動機、「規模を拡大し成長を目指す」企業が最多

 東京商工会議所が発表した「創業・スタートアップ実態調査」結果(有効回答数1148社)によると、事業の規模や成長に対する考え方は、「規模を拡大し成長を目指す(小規模から中規模以上へ)」企業が44.5%で最も多く、次いで「規模を拡大せず成長を目指す(規模維持)」企業が35.3%となった一方、「急激な成長を目指す(スタートアップ)」企業(9.0%)も一定数存在するなど、創業することの目的・動機が多様化している。

 経営者の年齢別にみた収益状況では、年代が上がるにつれて、黒字企業が減少、赤字企業が増加する傾向がみられた。40歳未満と70歳代以上の経営者を比較すると、40歳未満は「とても順調・概ね順調」と回答した企業が「黒字」と「収支トントン」の合計値より多い一方、70歳代以上は「黒字」と「収支トントン」の合計値よりも「とても順調・概ね順調」と回答した企業が少なくなった。

 創業検討時期については、学生時代に創業を考え始めたのは10.4%と約1割程度であり、今後起業・創業を増やすうえで、学生時代からのアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成が必要と考えられる。創業した動機のうち「定年後も働きたかった」の回答は経営者の年代による差が大きく、人生100年時代を迎える今後、会社員として身に着けたスキルを活かした定年後・早期退職後の起業・創業が今後増えていくと予想される。

 ソーシャルビジネスで創業した企業では、他の領域で創業した企業と比べて収益を上げることは難しい。創業当初の見通しと比べた現在の状況も「とても順調・概ね順調」の回答が少なく、困難な事業運営をしている企業が多いようだ。また、「業歴3年未満」と「3年以上~10年未満」の企業の収益状況を比べると、業歴が浅いほうが黒字企業の割合が少ない。「業歴3年未満」企業の半数以上が赤字で、業歴が浅い業への支援が必要と考えられる。

 事業拡大に向け必要とする支援策(複数回答)では、「補助金・助成金、融資制度の充実」(68.0%)が最多、次いで「販路開拓支援」(50.3%)となり、直面している課題に対応した支援策が上位となった。また、規模の拡大を目指す企業では、投資家とのマッチングを希望する企業の割合が多い。創業年にかかわらず「補助金・助成金、融資制度の充実」を望む声が多く、「販路開拓」、「専門家による経営支援」は創業初期に希望する声が特に多い。

 同調査結果は↓https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1030024