「脱炭素」名称認知は9割も、意識して行動は増えず

 博報堂が15~79歳の男女1400名を対象に実施した「生活者の脱炭素意識&アクション調査」結果によると、「脱炭素」という言葉を知っている人は90.8%(21年10月の前回調査85.4%)、「カーボンニュートラル」は 85.6%(同77.7%)と5ポイント以上伸長し、名称の浸透がうかがえる。しかし、日々の暮らしの中で脱炭素社会に向けた行動していると回答した人は33.1%と、前回調査の32.1%からあまり伸びていない。

 脱炭素社会の実現に向けて取り組むことについての意識は、「国民全員で取り組む問題とは認識している」(73.5%)、「もっと日本全体でやらないとまずいと思っている」(70.3%)と回答した人が7割を超え、国全体で取り組むべきという意識が高い。しかし、10~20代の若年層では、「よくわからない」(59.4%、全体より+11.2ポイント)、「意識・貢献できる瞬間がない」(58.9%、同17.2ポイント増)と回答した人が約6割に達した。

 環境問題について意識する時(複数回答)は、特に60~70代のシニア層では、「洪水や台風、地震などの自然災害が増えていると感じた時」(48.4%、全体より+11.8ポイント)、「気候の変化を感じた時」(47.1%、同+12.0ポイント)が全体より高く、環境の変化などを実感した時に意識することが多いようだ。また、脱炭素につながる行動のトリガー(複数回答)は、「金銭的なメリット(お得・節約につながるなど)」が 52.4%で最も高い。

 利用したい脱炭素関連商品の特徴も、「金銭を節約できる」(85.2%)がトップ。若年層では、「インフルエンサーや芸能人が勧める商品である」(51.1%)、「SNSキャンペーンなどを通じて、環境に配慮した生活を送っていることを周知できる」49.9%が、シニア層では「使用・廃棄時に環境への影響が少ない」(89.3%)、「平均的な商品よりどの程度 CO2が削減できるか『差分』が表示されている」(77.8%)が全体より高めだった。

 脱炭素関連商品・サービスの利用意向は、一般消費財より耐久財や生活インフラが高めだった。カテゴリーごとの脱炭素関連商品・サービスの利用意向は、家電や住宅・車・電力など、一度購入すれば中長期的にCO2の削減に貢献できるカテゴリーに対して、「少し高くても/手続きの手間があっても、CO2排出量削減に貢献できる商品を購入したい」と回答した人が、一般消費財と比較して10~15ポイントほど高い傾向があった。

 同調査結果は↓https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2022/06/20220623.pdf