食品の値上げが止まらない。世界的な食料品相場の上昇に加え、原油価格の高騰に伴う物流費や原材料費の値上がり、急激に進んだ円安など全方位でコスト増加が続いたことで、全面的な価格アップに踏み切る企業が目立つ。今後さらに原材料価格の高騰が続けば、直接売価に反映せざるを得なくなるケースは今以上に増えるとみられ、秋口以降も「値上げラッシュ」は続く可能性がある。
帝国データバンクが発表した「食品主要105社の価格改定動向調査」によると、上場食品主要メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を追跡調査した結果、5月19日までに累計8385品目で値上げの計画が判明し、4月14日以降の1ヵ月間で約2000品目が新たに値上げすることが分かった。このうち、5割超の4770品目では5月までに値上げした一方、6月以降も3615品目で値上げが行われる見通し。
なかでも、7月の値上げ品目は1500品目を超え、単月としては今年で最も品目数が多い。また、6月・7月合わせて約3000品目が値上げとなり、6月以降の値上げ品目数累計のうち8割超を占める。今年に入り様々な食品価格が値上げする中で、「食用油」と「小麦粉(製粉)」の価格高騰による影響が大きかった。特に、輸入小麦の政府売渡価格が前年比2割増の水準が続いたことで、小麦粉を主原料とする食品の値上げが相次いで実施された。
食品分野別に値上げとなった品目をみると、最も多いのは「加工食品」で3609品目判明。前月から700品目増加したほか、4割近くを6月以降の値上げ分で占めた。値上げ平均率は13%だった。次いで多いのは「調味料」の1702品目、値上げ平均率は10%で、ドレッシングやマヨネーズを中心に、菜種油など食用油の価格高騰が反映された。また、「酒類・飲料」(1188品目)は、6月以降の値上げ品目の占める割合が約8割と全分野で最も高い。
「酒類・飲料」は、円安の影響に加え、ビール類などでは麦芽・トウモロコシの価格高騰を反映したほか、原油から作られるペットボトル原料の価格高騰から清涼飲料水の価格が引き上げられる。「菓子」(523品目)では、ジャガイモの不作のほか、油脂・砂糖・包装材料などの価格高騰が響いた。輸入小麦の価格高騰による影響を大きく受ける「パン」(454品目)は、年内に複数回の値上げを行ったケースもみられる。
同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220508.pdf