印紙税の課税文書かどうかは記載内容に基づいて判断

 印紙税とは、経済取引等に伴って契約書や領収書などの文書を作成した場合に、印紙税法に基づきその文書に課税される税金だ。課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている内容に基づいて判断する。また、文書の内容判断は、その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行う。

 印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られる。この課税文書とは、(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること、(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること、(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと、のすべてに当てはまる文書をいう。

 課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断することとなるが、当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられている。そのため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要がある。

 例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号等により、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし、また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は、売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになる。

 なお、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置として、新型 コロナ感染症の影響を受けている事業者が作成する特別貸付けに係る契約書については、印紙税が非課税とされる場合がある。それは、新型コロナ感染症及びそのまん延防止措置により経営に影響を受けた特定事業者に対して行う一定の金銭の貸付けに係る消費貸借契約書のうち、2023年3月31日までに作成されるものについて、印紙税を非課税とするものだ。