中小の創業事業領域の3割が「ソーシャルビジネス」

 東京商工会議所が発表した「創業・スタートアップ企業の実態調査」結果(有効回答数1148社)によると、直近決算期の収益状況では、「黒字」が41.5%、「収支トントン」が18.4%、「赤字」が40.1%となった。創業当初の事業見通しと比較した現在の状況については、「とても順調に推移している」が7.5%、「概ね順調に推移している」が50.5%、「あまり順調ではない」が29.4%、「まったく順調ではない」が12.6%となった。

 事業の規模や成長に対する考え方は、「規模を拡大し成長を目指す(小規模から中規模以上へ)」が44.5%、「規模を拡大せず成長を目指す(規模維持)」が35.3%、「成長・拡大よりも社会課題解決、社会福祉を重視」が9.9%、「急激な成長を目指す(スタートアップ)」が9.0%などとなった。事業の将来の方向性では、82.0%が「現経営者が上場せず事業継続を目指す」と回答。「IPO(株式公開)を目指す」は10.1%だった。

 創業した事業の領域(複数回答)については、「ソーシャルビジネスに該当」が30.3%、「DX領域に該当」が20.5%、「いずれにも該当しない」が55.1%となり、約3割の中小企業が社会課題解決に向けた事業で創業していた。「ソーシャルビジネス」とは、高齢者・障がい者の介護・福祉、子育て支援、環境保護、まちづくり等、多種多様な社会課題の解決に向けたビジネスと定義している。

 「ソーシャルビジネスに該当」の回答者に聞いた社会課題解決のための取組み(複数回答)では、「地域活性化関連(例:地方特産物の宣伝・販売)」が47.1%で最も多く、次いで「女性活躍推進(例:AIによる幼児の昼寝中の自動見守り)」(28.9%)、「自然・環境保護(例:生分解性プラスチック複合材料の製造販売)」(27.1%)、「若者支援」(25.2%)、「障がい者支援」(24.0%)などと多岐にわたる。

 創業に際し必要だった資金(開業費)では、「100万円超~500万円以下」が最も多く36.8%となり、「1000万円以下」の合計が8割半ば(84.9%)を占めた。開業費の調達方法(複数回答)は、「自己資金」が71.1%と最多、「融資(政府系金融機関)」が31.3%、「融資(信金、信組)」が17.1%。金融機関からの資金調達の際の相談相手(同)は、「申込金融機関」が59.2%と最多、「商工会議所」が32.4%、「信用保証協会」が18.8%となった。

 同調査結果は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1029422