外食産業市場規模縮小、コロナ前の19年比▲16.8%

 日本フードサービス協会が、協会会員社を対象に実施した「外食産業市場動向調査」結果によると、新型コロナウイルス感染症発生2年目となった2021年の外食産業は、飲酒業態やレストラン業態等を中心に、1~2月にはまだコロナ発生初期であった前年よりもコロナ禍の影響が大きく、2021 年間の全体売上は前年比▲1.4%減、一昨年比では▲16.8%減と市場規模は縮小した。

 2021年の1月には2回目の「緊急事態宣言」が、4月以降は「まん延防止等重点措置」等の規制が政府・各自治体から発令され、時短要請など営業制限が10月まで続いた。特に規制に「酒類提供の制限・禁止」が加わったことで、制限期間中、飲酒業態の多くは休業に追い込まれ、「パブレストラン/居酒屋」の売上は、2020年比で▲42.2%減、コロナ前の2019 年比では▲72.8%減とコロナ1年目より更に市場は縮小した。

 業態別では、店内飲食を主とする「ファミリーレストラン」(20年比▲8.2%減、19年比29.7%減、以下同様)、「ディナーレストラン」(▲10.1%減、▲42.6%減%)、「喫茶」(1%増、▲30.8%減)、「パブレストラン/居酒屋」(▲42.2%減、▲72.8%)等は、苦戦が続いており、特に飲酒業態は深刻な事態となっている。一方、「ファーストフード」(4.8%増、1.8%増)は業態の強みであるテイクアウト・デリバリーの下支えにより好調を維持した。

 四半期動向では、売上は、第1回「緊急事態宣言」が発令された2020年同期と比較した第Ⅱ四半期、及び宣言解除期間が含まれている第Ⅳ四半期は、全体及び業態別ともに概ね前年を上回った。店舗数は、全体にコロナの影響により、特に年前半の減少幅が大きかった。とりわけ「パブレストラン/居酒屋」は2度目の緊急事態宣言となった第Ⅰ四半期、3度目となった第Ⅱ四半期は減少幅が15%前後と大きく、年計では20年比▲13.3%減となった。

 客数は、2020年の第1回緊急事態宣言との対比で第Ⅱ四半期が大きく伸び、また宣言解除後の第Ⅳ四半期でも増加した。中でも「パブレストラン/居酒屋」は営業制限の有無により増減幅が大きく変動した。客単価は、第Ⅳ四半期において、すべての業態で前年を上回って推移した。業態別では、「喫茶」のみが、すべての期で前年を上回った。

 同調査結果は↓

http://www.jfnet.or.jp/files/nenkandata-2021.pdf