新規開業の約8割が2年連続でコロナの影響受ける

 日本政策金融公庫が、2019年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業を対象に昨年7月時点で実施した「新型コロナウイルス感染症が新規開業企業に与えた影響に関する追跡調査」結果(有効回答数841社)によると、新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響を「受けた」と回答した割合は、2020年調査で77.7%、2021年調査で80.1%と、2年連続で約8割を占めた。

 マイナスの影響を「受けた」企業は、2021年調査では「製造業」(96.0%)、「飲食店、宿泊業」(95.9%)、「運輸業」(89.5%)、「教育、学習支援業」(88.5%)などで高い割合となった。具体的な影響(複数回答)をみると、「売上が予定より減った」が2020年調査で76.4%、2021年調査で74.4%、「利益が予定より減った」がそれぞれ57.2%、56.2%、「営業を一部自粛した(時短営業を含む)」がそれぞれ37.2%、33.9%などとなっている。

 コロナ禍による売上の減少割合は、「75%以上100%未満」が4.1%、「50%以上75%未満」が10.6%などとなった。売上が「減少」した企業の割合を業種別にみると、「飲食店、宿泊業」が93.3%と9割を超えて最も高く、次いで「製造業」(81.0%)、「運輸業」(77.8%)などで高くなった。「50%以上減少」した企業の割合は、「運輸業」(55.6%)、「飲食店、宿泊業」(36.5%)などとなっている。

 新型コロナの影響を受けて実施したこと(複数回答)は、「金融機関から新たに借入を行った」(29.2%)、「経営者や家族の預金を取り崩した」(23.5%)などが挙げられた。また、デジタル技術・ITの活用状況(複数回答)は、「会計処理ソフトの導入」(55.9%)、「ホームページの活用」(55.4%)などを活用。特に「リモート会議」(開業時10.1%、2021年調査35.9%)、「在宅勤務(テレワーク)」(同10.6%、26.7%)が大きく伸びている。

 新たな商品・サービスが「ある」企業は13.9%、提供方法変更商品・サービスが「ある」企業は10.8%。売上に対する割合の平均は、新たな商品・サービスは22.7%、提供方法変更商品・サービスは19.8%。2021年調査では「飲食店、宿泊業」の22.2%が宅配を、67.5%がテイクアウトを実施している。開業時のそれぞれ4.3%、35.0%と比べて実施割合はかなり上昇している。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyotsuiseki_220119_1.pdf