10月の事業者間取引で約9割が消費税を「全て転嫁」

 経済産業省はこのほど、消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査の10月調査結果を公表した。同省では、2014年4月の消費税率引上げを踏まえ、転嫁状況を定期的にモニタリングするため、同年4月から転嫁状況に関する事業者へのアンケート調査を実施しており、現在まで引き続き、監視・取締りを強化し、転嫁拒否の未然防止、違反行為への指導など迅速な是正を行っている。

 10月調査結果(有効回答数1万328事業者)によると、消費税の転嫁状況について、事業者間取引では88.6%、消費者向け取引では80.4%と、8~9割の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、前年度比でそれぞれ▲1.2ポイント、▲0.5ポイントだった。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では1.8%、消費者向け取引では2.8%で、前回比ではそれぞれ+0.3ポイント、▲0.1ポイントだった。

 事業者間取引において転嫁できた理由(2つまで回答)は、55.9%の事業者が「以前より、取引先において、消費税率引上げ分を受け入れる、という理解が定着しているため」と回答。次いで、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されているため」が32.8%、「本体価格と消費税額を分けることにより、交渉しやすくなったため」が19.7%などとなっている。

 取引先から受けた転嫁拒否行為(複数回答)については、実際に転嫁拒否行為を受けたと回答した210社の事業者のうち、「本体価格での交渉拒否」と回答した事業者が42.4%で最も多く、次いで「価格交渉時に消費税率引上げ分の全部又は一部の上乗せ拒否」が37.1%。また、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合を業種別にみると、「建設業」が95.4%で最も高く、最も低い「サービス業」では81.1%だった。

 一方、消費者向け取引において転嫁できた理由(2つまで回答)としては、70.5%の事業者が「消費者において、消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透しているため」、次いで、「本体価格と消費税額を分けて記載することにより、値上げへの反発が和らいだため」が22.3%。また、「全て転嫁できている」事業者の割合を業種別にみると、「製造業」が92.4%、「運輸業、郵便業」が91.9%の順で、最も低い「サービス業」は70.2%だった。

 同調査結果は↓

https://www.meti.go.jp/press/2021/12/20211222003/20211222003-1.pdf