実質成長率は2021年度2.6%、22年度2.8%と予測

 信金中央金庫が発表した2021~22年度経済見通しによると、実質成長率は、2021年度は2.6%、2022年度は2.8%と予測している。4回目の緊急事態宣言による活動制限を受けて、外出自粛の影響から宿泊旅行や外食などサービス消費が低調で、個人消費は前期比1.1%減とマイナスに転じた。半導体不足など供給制約で自動車販売が落ち込んだ影響も大きかった。設備投資は機械部品の不足などの影響で3.8%減となった。

 輸出も自動車生産の下振れを受けて前期比2.1%減と5四半期ぶりに減少した。世界経済は回復基調を維持しているが、供給制約に伴う自動車や機械の生産の遅れが影響している。もっとも供給制約によって輸入も減少したため、輸出から輸入を差し引いた純輸出の寄与度は前期比ベースでプラス0.1%、年率換算の実質成長率を0.4%ポイント押し上げた。ワクチン購入や接種費用が計上された政府消費は1.1%増加した。

 秋口にかけて新型コロナの感染は一服し、人流の回復とともにサービス消費は上向いている。7~9月に落ち込んだ個人消費は、10~12月から22年1~3月にかけて持ち直すと予想される。ただ、欧州では経済活動の再開に伴って感染が再拡大しており、国内でも気温が低下する年末から来年初めにかけて再び感染が広がるリスクは残る。先行きは個人消費や設備投資の持直しを受けて景気が上向いていくとの見方をメインシナリオとしている。

 新型コロナの感染一服を受けて中小企業非製造業の投資意欲が上向いていることも好材料である。短期的には供給制約の影響が設備投資の回復を抑える要因になるものの、設備投資は基調として回復の動きを維持すると予想される。しかし、供給制約による自動車の減産を主因とした輸出減速の長期化や、最大の輸出先である中国経済の減速、エネルギー価格の上昇などが景気回復の逆風となる可能性がある。

 2021年度の実質成長率は2.6%と前回予測(3.1%)から下方修正した。夏場の感染拡大による下押し圧力が想定以上に大きかったことに加え、供給制約の影響が長期化しているためだ。一方、2022年度の実質成長率は2.8%と前回予測から上方修正した。ワクチン接種の進展で経済活動が正常化に向かうとの見方を維持していることに加え、自動車や機械類の挽回生産による反動増を見込んだためである。

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