企業業績は約6割の企業が平常時より「減少」と回答

 財務省がこのほど発表した「新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響とポストコロナに向けた新たな事業展開や需要創造等の対応についての特別調査」結果(有効回答数1228社)によると、2021年10月調査時点の業績は、59%(前回7月調査から4.9ポイント上昇)の企業が平常時と比較して「減少」と回答するなど、百貨店、運輸、宿泊・飲食等の業種を中心に依然として厳しい状況が続いていることが分かった。

 企業の資金繰りについては、政府の資金繰り支援等により十分な手元資金が確保され、80%の企業は、追加の資金調達は「予定なし」と回答。一方、20%の企業は将来的に「追加資金が必要」と回答しており、規模では「中小企業」(31%)、また、業種別でみると、「運輸業」(62%)や、業種低迷が続く「宿泊・飲食サービス」(55%)では、追加資金を必要とする企業の割合が相対的に大きい。

 コロナ禍で表面化した課題(複数回答)は、販売・事務処理などの「デジタル化・オンライン化」(58%)が最も多く、宿泊・飲食サービス業における「既存事業の需要減少」(35%)や巣ごもり需要などの「既存事業の需要拡大」(23%)への対応を挙げる企業も目立った。また、前年同期の調査時点と比較して、「サプライチェーンの多元化・強靭化」を挙げる企業割合が増加している(前年同期11%→今回17%)。

 需要創造に向けた取組み(複数回答)では、「既存事業の強化」(51%)や「デジタルの活用・投資」(48%)のほか、自社のノウハウを生かした「新規事業の立上げ」(23%)、販売促進のための「顧客・販売先の多様化」(21%)も一定程度みられた。サプライチェーンや生産拠点の見直し(同)では、「調達先の多様化」(31%)のほか、AIによる管理、工程の自動化などの「デジタル化・ロボット化の活用」(18%)もみられた。

 課題への対応を進める上でのボトルネック(複数回答)では、「専門的な人材や知識、ノウハウの不足」(需要創造52%、サプライチェーンや生産拠点40%)、「人手不足」(同21%、同17%)、「職場内での認識・理解不足」(同14%、同13%)など、デジタル化等の専門人材の不足や職場内での理解不足を挙げる事業者が多い。また、専門人材不足を外部委託で補いたくても資金上の制約があったり、セキュリティの懸念を挙げている事業者もいる。

 同調査結果は↓

https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/202103/tokubetsu.pdf