ホテル・旅館の休廃業がハイペース、前年既に超える

 帝国データバンクが発表した「全国企業休廃業・解散動向調査」結果によると、2021年 1~9月に全国で休廃業・解散を行った企業は4万1761件(前年同期比▲3.7%)となった。引き続き、無利子・無担保融資や資本性劣後ローンなど充実した資金繰り対策の効力が続いていること、コロナ対応の各種補助金・支援金など政府による事実上の資本注入策が中小零細企業の経営を強力に下支えしており、休廃業・解散の増加を抑制した。

 ただ、同期間で2割超の減少となった倒産(2020年1~9月:6047件→21年同:4534 件、▲25.0%)と比べて減少率は非常に小幅、ほぼ前年並みの水準を維持しており、下止まりの兆しも見られる。こうしたなか、現状のペースが続けば2021年通年の休廃業・解散件数は前年比微減の5万5500~6000件前後にとどまる見通しで(2020年:5万6103件)、2年連続の減少となる可能性が高い。

 業種別では、その他を除く7業種中3業種で前年同期を上回った。なかでも「運輸・通信業」(531件)は前年同期比5.8%の増加。サービス業、不動産業でも増加した。他方、食品スーパーなどの件数減を背景に「小売業」(2913件)は▲13.5%と1割超減少し、全体を押し下げる要因となった。業種細分類では、前年同期比で最も増加したのは卸売代理など「仲立業(ブローカー)」(36件、前年同期比100.0%増)だった。

 次いで、男子服卸や旅行代理店、熱絶縁工事が続いた。観光関連の休廃業・解散も前年から大幅に増加しており、「ホテル・旅館」(143件)は既に前年を上回っているほか、2015年以前と比較しても過去10年では最多、リーマン・ショック発生当時の 2008年(1~9月:183件)に次ぐハイペースで推移。一方、飲食店(2020年1~9月:407件→21年同:375件、▲7.9%)は大幅に減少した前年同期をさらに下回って推移している。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p211004.pdf