テレワークで仕事の効率上昇の要因は「疲労の軽減」

 総合研究開発機構がこのほど発表した「テレワークに関する就業者実態調査」結果速報(有効回答数1万644人)によると、9月1週目時点の全国の就業者のテレワーク利用率は17%(東京圏28%)となった。テレワークで仕事の効率が上昇する要因は、「疲労の軽減」、「仕事の特性上テレワークが向いている」など。一方、低下する要因は、「仕事の特性上テレワークが困難なこと」、「コミュニケーションの悪化」などが挙げられた。

 全国でテレワークを利用していた人の割合を時系列でみると、新型コロナ感染拡大前の2020年1月ではわずか6%だったが、1回目の緊急事態宣言が出された4~5月は25%まで大幅に上昇。緊急事態宣言の解除後の6月には17%に低下し、その後、緊急事態宣言発令中やオリンピック開催中も、テレワーク利用率に大きな変化はない。新型コロナ感染拡大前と比べると、テレワークが一定程度普及する一方、「頭打ち状態」にもなっている。

 居住都道府県別でみると、2021年9月1週目時点で高い順に、「東京都」33%、「神奈川県」27%、「埼玉県」22%、「千葉県」21%となり、東京圏での利用率が高い。東京圏でみると、2020年4~5月のピーク時より10%ポイントほどテレワーク利用率が減少した。新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月と比べると、石川県、島根県を除く、すべての都道府県で、テレワーク利用率が上昇している。

 仕事の効率性を上昇させる要因(5つまで回答)は、「テレワークにより、通勤や業務上の移動が減り、疲労しにくくなった」22%、「リモートでできる仕事が多い」22%、「自宅では、静かな部屋で、仕事により集中できる」17%、「仕事の進め方について裁量が多い」15%の順となった。これらを含め、上位から中位には、疲労の軽減、仕事の特性上テレワークが向いていることや、自宅環境の良さに関する項目が並んだ。

 一方、仕事の効率性を低下させる要因(5つまで回答)は、「リモートではできない仕事が多い」23%、「コミュニケーション方法が、メール、チャット、ビデオ会議などになり、コミュニケーションがとりにくくなった」18%、「テレワークにより、同僚・部下とのコミュニケーションが不足しがち」18%の順。上位から中位には、仕事の特性上テレワークが困難なことや、コミュニケーションの悪化、自宅環境に課題があることが並んだ。

 同調査結果は↓

https://www.nira.or.jp/paper/report012110_pre.pdf