コロナ感染の爆発的拡大で苦境が続く外食産業市場

 日本フードサービス協会がこのほど発表した「外食産業市場動向調査」結果によると、8月は新型コロナ感染症の爆発的拡大により「緊急事態宣言」及び「まん延防止措置」の適用が全国的に拡大し、外食の営業規模はますます縮小した。本来ならば夏の最大の書き入れ時であるはずのお盆休みも期待できず、台風や前線の停滞による大雨の影響が追い打ちをかけ、全体売上は“新型コロナ元年”の前年をも下回った(対前年比▲8.6%)。

 「ファーストフード(FF)」業態は、洋風と持ち帰り米飯/回転寿司が牽引し全体の売上はかろうじて前年を1.0%上回った。「洋風」は、テイクアウト、デリバリー等の需要増大で売上6.0%増。「和風」は、オリンピック、パラリンピックに合わせたテイクアウトキャンペーン等により売上は▲0.1%に踏みとどまった。「麺類」は、売上▲11.6%。「持ち帰り米飯・回転寿司」は、回転寿司の持ち帰り需要が堅く売上は1.1%増となった。

 「ファミリーレストラン(FR)」業態は、時短営業や酒類提供制限が続く中で本来の営業ができず、新たな販路としてテイクアウト・デリバリーに注力も、売上は▲20.6%(一昨年比では▲40.8%)。「洋風」は、売上▲19.0%(一昨年比▲43.4%)、「和風」は▲24.7%(一昨年比▲46.4%)。「中華」は、売上▲12.9%(一昨年比▲20.1%)。「焼き肉」も、緊急事態宣言の対象地域では休業店が増え、売上▲26.6%(一昨年比▲38.2%)となった。

 「パブ・居酒屋」業態は、緊急事態宣言・まん延防止措置の適用が全国に広がり、売上の主要を占める酒類が提供できないために休業せざるを得ない店が増え、パブ・居酒屋業態全体の売上は前年比▲68.8%の大幅減少となり、一昨年比ではわずか11.2%という低水準に終わった。「パブ・ビアホール」の売上に至っては▲73.6%(一昨年比▲90.7%)、「居酒屋」は▲67.0%(一昨年比▲88.1%)とともに壊滅状態だった。

 「ディナーレストラン」業態は、全国主要都市に適用された夜間営業の制限や、法人需要の低迷により、都市部が大きな影響を受け、売上は▲24.5%(一昨年比では▲49.8%)。また、「喫茶」業態は、時短営業地域の拡大と相次ぐ雨天の影響で売上は▲8.5%。郊外やショッピングセンター立地の店舗は比較的少ない減少幅である一方、在宅勤務の定着化で都市部店舗は苦しい状況が続いている。

 同調査結果は↓

http://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2021-08.pdf