ライブ・エンタメ市場は前年比▲82.4%の1106億円

 ぴあ総合研究所のライブ・エンタテインメント市場分析によると、2020年の同市場規模は、数年続いていた増加トレンドから一転、新型コロナ感染症拡大の影響により、前年比▲82.4%減の1106億円となった。いまだコロナ禍の収束がみえないなか、感染拡大防止対策を徹底した上で徐々に活動が再開されてきたとはいえ、2021年も低空飛行が続いている。同市場再浮上のカギを握るのは、イベント開催制限の完全撤廃、国民の行動制限の緩和だ。

 そのためには、ワクチン接種がさらに進み、「ワクチン・検査パッケージ」のような仕組みの導入により社会経済活動が活性化に向かうことに期待が寄せられている。ぴあ総研は、今後コロナ禍が収束にむかい、もし2022年3月までにイベント開催制限が完全撤廃されるならば、ライブ・エンタテインメント市場は早ければ2023年にコロナ前の水準に回復する可能性がある、と予測。回復を後押しする主な要素として、以下を挙げている。

 緊急事態宣言下にあってなお、制限の範囲内で公演の供給と需要は既に緩やかな回復基調にあること。上限人数の制限が完全に撤廃されないなかでの公演活動の継続は、入場料収入減と感染予防対策等の費用増を価格に転嫁せざる得ないケースも多く、平均単価の上昇傾向がみられる。価格上昇傾向は、今後しばらく不可逆となる可能性が高い。平均単価をみると、2019年の7600円が2025年推計では7866円となっている。

 コロナ禍で長きにわたり行動を抑制されたアーティストと観客コロナの両者ともに、イベント再開を待ち望む声がやまず、開催制限が解除された後はこれまでの反動増で、一気に市場が活性化することが見込まれる。新たなアリーナやホール・劇場が相次ぎオープンする動きがある。コロナ前に深刻化していた「ライブ会場不足」問題が解消されれば、これまでの成長阻害要因がひとつ取り除かれる。

 これらのプラス要因により、ライブ・エンタテインメント市場は、2022年から急速に再起し、2023年には、一気にコロナ前の水準にまで回復し、2023年以降、with/afterコロナ下での新たなビジネスモデルを描きながら、年平均成長率2.4%の安定した成長を実現すると推測している。なお、回復予測は、あくまでも開催制限の大幅な緩和と公的支援の継続を前提としたもので、完全な復活には時間がかかりそうとしている。

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