日本能率協会が発表した「日本企業の経営課題2021調査」結果速報(有効回答数517社)によると、各社における DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組状況については、「既に取組みを始めている」企業が45.3%となり、昨年の28.9%より大幅に増加している。これまでのDXへの関心の高まりに加えて、コロナ禍によって、デジタル技術を活用したビジネスモデルへの転換が進んでいることが背景にあるとみている。
従業員規模別にみると、取組みを始めている企業が、大企業では65.6%、中堅企業でも 45.0%にのぼる。中小企業では、取組みを始めている企業は27.7%と3割弱にとどまるものの、「検討を進めている」、「これから検討する」の合計が55.4%となり、関心の高さがうかがえる。一方で、成果状況は、「ある程度の成果」が40.6%と多数になっており、従業員規模にかかわらず、多くの企業が DX推進の途上にあることが分かる。
DXに「既に取組みを始めている」企業が、DXの取組みで重視していることは、「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」を重視との回答(「非常に」~「やや」の合計)が91.4%と、最も比率が高くなった。そのほか、「営業・マーケティングプロセスの効率化・高度化」が87.6%、「生産プロセスの効率化・高度化」が85.0%となっており、個別の業務領域においてもDXを進めていくことが期待されている。
また、「人材・組織マネジメントの効率化・高度化」も86.7%と高めだ。このところ、HRテクノロジーやHRアナリティクスなど、人事領域におけるデジタル技術の活用が広がっている動向が背景にあるようだ。一方で、「抜本的な事業構造の変革」は、74.4%と、やや低めだ。業務プロセスの効率化・高度化も重要なことだが、さまざまな社会課題や多様化する顧客ニーズに応えるための事業変革が期待されているようだ。
DX推進の課題では、「DX推進に関わる人材が不足している」が88.5%と約9割に達したほか、「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」が66.2%、「具体的な事業への展開が進まない」が67.1%と多数を占めた。能率協会は、「DXによって、実現したいもの、顧客や社会に対して生み出したい価値を前提として、DXに対するビジョンや経営戦略、具体的な事業の構想を行うことが大切」とコメントしている。
同調査結果は↓
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2021/09/20210922keieikadai_No3DX_0921.pdf