厚生労働省は20日、2020年4月から2021年3月まで(2020年度)に2万4042事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ公表した。この監督指導は、「過労死ライン」目安とされる月80時間を超える時間外労働・休日労働が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった全ての事業場を対象としている。
この結果、今年3月までの1年間に監督指導を行った事業場のうち、約37%に当たる8904事業場で違法な時間外労働を確認、是正・改善に向けた指導を行った。業種別では、「商業」が2184事業場と約25%を占めて最も多い。これらの事業場に対しては、是正・改善状況の確認を行い、是正が認められない場合は書類送検も視野に入れて対応するなど、引き続き、長時間労働の削減に向けた積極的な対応を行っていくという。
今年3月までの1年間に違法な時間外労働があった8904事業場のうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が「1ヵ月当たり80時間を超える」ものが2982事業所(33.5%)で、うち「月100時間を超えるもの」が1878事業場(21.1%)、うち「月150時間を超えるもの」が419事業場(4.7%)、うち「月200時間を超えるもの」が93事業場(1.0%)だった。
また、違法な時間外・休日労働時間以外に、賃金不払残業があったものが1551事業場(6.5%)あったほか、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが4628事業場(19.2%)あった。この結果、監督指導を実施した2万4042事業場(2019年度3万2981事業場)のうち、約73%(同約78%)に当たる1万7594事業場(同2万5770事業場)において労働基準関係法令違反が認められた。
なお、主な健康障害防止に関する指導の状況をみると、「過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導」したものは9676事業場(40.2%)、うち、「時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導」が4419事業場(45.7%)、「時間外・休日労働を月45時間以内に削減するよう指導」が5188事業場(53.6%)。また、「労働時間の把握方法が不適正なため指導」したものが4301事業場(17.9%)だった。
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