事業再構築補助金採択金額は1500万円以下が約5割

 新型コロナウイルス感染拡大で売上減や需要回復が遅れる企業が多いなか、「事業再構築補助金」が注目されている。これは中小企業の新分野への進出、事業・業種・業態の変換、事業再編を推し進めるための補助金で中小企業庁が支援している。東京商工リサーチがこのほど発表した「事業再構築補助金採択企業分析調査」結果によると、事業再構築補助金事務局のまとめでは、応募件数は2万2231件だった。

 このうち、申請要件を満たしたのは1万9239件(構成比86.5%)、2992社(同13.4%)が書類不備などで要件を満たさなかった。1万9239件のうち、審査を経て採択されたのは8016件(同41.6%)で、約6割が採択されなかった。採択金額(全類型合計)は「100万円以上1500万円以下」が全体の46.0%を占めた。最多は「4501万円以上6000万円以下」27%、「100万円以上500万円以下」19%、「1501万円以上3000万円以下」17%と続く。

 申請に必要な事業計画の検討を支援する認定支援機関別にみると、採択率は、「民間コンサルティング会社」が47.6%でトップ。次いで、「中小企業診断士・行政書士」47.4%、「金融機関」45.3%の順。不備率でも「民間コンサルティング会社」は11.5%と最低で、「金融機関」11.8%、「中小企業診断士・行政書士」12.3%の順。民間コンサルティング会社と金融機関、中小企業診断士・行政書士が採択率、不備率ともに好結果だった。

 採択企業の8016件のうち、東京商工リサーチの企業データベースで7043社を分析すると、産業別では、飲食業を含む「サービス業他」が2456社(構成比34.8%)で最多だった。新型コロナの影響が重く、採択企業も多かった。次いで、「製造業」の2307社(同32.7%)で、新分野展開や事業転換を目指す企業が多いとみられる。以下、「卸売業」581社(同8.2%)、「建設業」541社(同7.6%)、「小売業」484社(同6.8%)と続く。

 また、業種別(業種中分類)でみると、「飲食店」が853社(構成比12.1%)で最多だった。コロナ禍で休業や時短営業などが打撃となり、事業の再構築を進めているようだ。次いで、「金属製品製造業」が442社(同6.2%)、「生産用機械器具製造業」372社(同5.2%)、経営コンサルタントなど「専門サービス業」299社(同4.2%)、「食料品製造業」249社(同3.5%)と続く。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210721_11.html