ワクチン接種後にやりたいこと~圧倒的に国内旅行

 ニッセイ基礎研究所が7月上旬に実施した「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」結果(有効回答数2582人)を元に、消費者がワクチン接種後にやりたいこと(複数回答)を探ったところ、圧倒的に多いのは「国内旅行」(53.1%)で過半数を占め、「外食」(36.8%)、「友人と会う」(36.6%)、「店舗でのショッピング」(27.5%)、「帰省・離れて暮らす家族と会う」(22.4%)と続いた。「海外旅行」(16.3%)は2割弱にとどまった。

 属性別にみても、首位は「国内旅行」。女性は男性を上回る項目が多く、期待感が強い。特に女性では「友人と会う」(45.6%)や「店舗でのショッピング」(35.2%)、「帰省・離れて暮らす家族と会う」(28.8%)、「舞台やコンサート、ライブ鑑賞」(24.0%)で高い。また、外出自粛傾向の強い高齢層でも全体を上回る項目が多く、期待感が強い。なお、若い年代では「外食」や「遊園地など屋外レジャー施設の利用」が高い。

 ライフステージ別にみても、いずれも圧倒的に多いのは「国内旅行」であり、4~6割を占める。子育て世帯では、「国内旅行」や「遊園地などの屋外レジャー施設の利用」が高く、我慢の多い生活の中で、ワクチン接種後は子どもを楽しませてあげたいという親の気持ちが見えるようだ。また、子ども(孫)が誕生した世帯や大学生のいる世帯で「帰省・離れて暮らす家族と会う」が高くなっている。

 世帯年収別では、1000万円付近を中心に全体を上回る項目が目立ち、特に「海外旅行」は全体の2倍を占めて、消費意欲が旺盛な様子がうかがえる。ワクチン接種完了及び完了間近な層、積極的な層では全体を上回る項目が多いものの、世帯年収別やライフステージ別ほど顕著ではないため、ワクチン接種後の消費行動は、経済的な余裕や子どもがいるなど家庭の環境による影響が大きいとみられる。

 自由記述の回答では、「カラオケ」や「ボランティア」、「自由に行動する」など、コロナ禍で自粛している外出行動の再開のほか、「変異株の懸念があるために様子見」との慎重な見方もあった。現在のワクチン接種が進むことで、感染不安が緩和され、消費行動は活発化していくとみられるが、それはどの程度の水準で、いつまで続くものなのか。継続的な調査を用いて引き続き注目していく予定としている。

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