1億円以上の役員報酬の開示は253社、人数は544人

 上場企業の2021年3月期決算で、1億円以上の役員報酬の開示は253社、人数は544人だったことが、東京商工リサーチが発表した「役員報酬1億円以上開示企業調査」最終結果で分かった。前年から4社減少し、社数は2年連続で前年を下回った。一方、人数は前年から11人増え、2年ぶり前年を上回った。544人は、開示を開始以来、2019年の571人に次いで2番目に多かった。報酬総額は1092億9800万円で、前年を0.8%上回った。

 役員報酬の主な内訳は、基本報酬が506億600万円(前年比▲3.4%)で最多。報酬総額に占める構成比は46.3%とほぼ半分を占めるが、前年を2.0ポイント下回った。また、役員退職慰労金(引当金を含む)は20億7200万円(同▲26.9%、構成比1.8%)で、構成比は前年より0.8ポイント低下。一方、賞与は166億6500万円(同5.3%増、同15.2%)と増加。株式報酬などの非金銭報酬も目立ち、業績に連動した報酬体系が定着しつつある。

 2021年3月期の役員報酬の最高は、ソフトバンクGの「サイモン・シガース取締役」の18億8200万円。報酬内訳は、基本報酬1億4300万円、賞与10億2400万円、株式報酬(未確定額)7億円など。2位は、武田薬品工業の「クリストフウェバー社長」の18億7400万円。基本報酬は2億6700万円だが、業績連動報酬の賞与が3億2800万円、業績連動型株式報酬が9億円、非金銭報酬の譲渡制限付株式報酬が3億7900万円だった。

 報酬は、基本報酬が中心だが、近年は業績連動に加え、ストックオプション、株式報酬などの非金銭報酬も高まっている。一方、退職慰労金による多額の報酬は減る傾向にある。報酬額10億円以上は5人(前年8人)で、前年を3人下回った。20億円以上は、2012年3月期以来、9年ぶりにゼロだった。一方、1億円以上2億円未満は392人(同386人)で、7割(構成比72.0%)を占めた。

 役員報酬を開示した253社のうち、開示人数が10人以上は前年と同数の2社だった。一方、1人が136社(構成比53.7%、前年137社)と、ほぼ半数を占めた。開示人数の最多は、「日立製作所」の15人(前年18人)で、2年連続トップを守った。2位は、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の11人(同10人)で、前年より1人増加。3位は、9人の「三井物産」(前年8人)、「大和証券グループ本社」(同5人)の2社だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210714_02.html