2020年度はコロナ禍により中途採用実績は減少

 リクルートワークス研究所が発表した「中途採用実態調査」結果によると、2020年度の中途採用実績は、1社あたり中途採用人数が1.18人と、前年度の1.48人から-20.2%と減少した。コロナ禍のもとで、企業サイドからみた中途採用市場は縮小。従業員規模別でみると、全ての従業員規模の企業の中途採用実績は減少。特に従業員規模300~999人の中堅企業や、1000~4999人の企業で減少が大きかった(それぞれ-23.5%、-25.8%)。

 業種別でみると、ほとんど全ての業種について採用実績は減少。中でもコロナ禍の影響が大きいと考えられる「飲食店・宿泊業」の減少幅が-53.0%と最も大きい。また「建設業」(-35.1%)や「情報通信業」(-27.3%)もやや大きめに減少したが、2021年度の見通しによれば、前年度より増加することを考えると、減少は一時的である可能性もある。また「金融・保険業」は+8.6%と増加した唯一の業種となった。

 中途採用について、経験者と未経験者の採用実績人数の過去6年間の推移をみると、経験者の採用人数が1社あたり0.71人と前年度より0.16人減少。未経験者についても0.52人と前年度より0.10人減少し、ともに過去6年間で最小となった。中途採用全体では1社あたり1.23人の採用実績となった。未経験者の割合は0.5%ポイント上昇(41.6%→42.1%)し過去最多となった。経験者の中途採用がより減少したことが原因だ。

 下半期の中途採用活動実施割合をみると、「実施した・実施中」の企業の割合は全体では64.9%、「実施しなかった」企業の割合は34.9%。「実施した・実施中」の企業の割合は、比較可能な2013年度以降で、初めて2年連続の減少。2019年度下半期を境に企業の採用活動が変化しているようだ。業種別にみると、「医療・福祉」(82.8%)、「不動産業」(75.6%)、「建設業」(70.0%)において「実施した・実施中」の割合が高い。

 2020年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できなかった」と回答した企業は36.3%、前年度から-6.4%ポイントと低下した。「確保できた」企業の割合と「確保できなかった」企業の割合の差(「中途採用確保D.I.」)は、全体で+26.2%ポイントと前年度(+13.7%ポイント)からさらに上昇した。コロナ禍により、採用意欲が縮小していることがうかがえる。

 同調査結果は↓

https://www.works-i.com/research/works-report/item/210625_midcareer.pdf