個人番号と預貯金口座を紐付ける新たな制度が創設

 マイナンバー(個人番号)と預貯金口座を紐付けすることにより、様々な給付金を簡単な手続きで受け取れるようになるとともに、災害時や相続時に、通帳を紛失したり、口座が分からなくても、口座の所在を確認できるようになる制度が創設された。5月12日に成立したデジタル改革関連6法の一つである「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」に規定されている。

 この法律では、(1)本人の同意を前提とし、一度に複数の預貯金口座への個人番号の付番が行える仕組みや、金融機関窓口からの番号登録だけでなくマイナポータルからも登録できる仕組み、(2)相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できる仕組み、を定めている。法律の施行は、公布日から3年以内とされており、内閣府の資料によると、相続時等のサービス開始などは2024年度からが予定されている。

 現在、被相続人が亡くなった場合、被相続人の預貯金がどの金融機関に預けられているのか相続人が把握できないケースがあり相続時の問題となっている。創設された制度では、相続人は、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する相続人の被相続人である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、金融機関及びその店舗の名称、預貯金の種別及び口座番号の通知を求めることができるようになる。

 また、他方で、今般の新型コロナウイルス対策の給付金においては、個人が振込口座情報を申告する必要があったため、申請者や、確認作業を行う職員の負担となり、迅速な給付のボトルネックとなったことが、制度創設の背景の一つにある。マイナンバーを利用することができず、照合作業が非効率なものとなったことを踏まえ、国民の利便性を向上させるサービスとして制度を創設したという。

 個人番号と預貯金口座の紐付けは、すでに2018年からスタートしており、金融機関には、預貯金口座を個人番号と紐付けて管理する義務が課せられている。ただし、NISAなどの投資信託や教育・結婚子育て資金の一括贈与、外国送金など法令で個人番号の提出が義務付けられているものと異なり、預貯金口座の場合は、任意のため、金融機関が預貯金者に対し提出の協力をお願いする形となっている。

 新法により、金融機関は、口座開設時等に預貯金者に対し、個人番号利用による預貯金口座の管理の希望の有無の確認が必要になったが、現行同様、個人番号の提出義務は規定されていない。