2度目の緊急事態宣言を受け人手不足割合は減少

 帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」(有効回答数1万1441社)によると、現在の従業員の過不足状況は、正社員について「不足」と回答した企業は35.9%となった。新型コロナウイルスの感染拡大直前だった2020年1月から13.6ポイント減少し、1月としては2014年(36.6%)とほぼ同水準まで低下した。「適正」企業は46.5%で同5.6ポイント増加。「過剰」企業は17.6%で同8.0ポイント増となった。

 「不足」企業を業種別にみると、「放送」が56.3%(前年同月比20.6ポイント減)でトップ。また、国土強靭化対策などにより公共工事が好調な「建設」(54.6%、同13.9ポイント減)や、IT人材の不足が続く「情報サービス」(53.3%、同21.3ポイント減)、「自動車・同部品小売」(51.8%、同12.8ポイント減)などが5割台で続く。また、「電気通信」(44.4%、同6.9ポイント増)は在宅勤務などリモート需要の高まりから増加している。

 一方、非正社員が「不足」していると回答した企業は19.1%となり(前年同月比10.1ポイント減)、1月としては2013年(16.4%)以来、8年ぶりに2割を下回った。「適正」は65.3%(同3.4 ポイント増)、「過剰」は15.5%(同6.6 ポイント増)となった。業種別にみると、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が52.0%(同8.0ポイント減)でトップとなった。

 「各種商品小売」に次いで、「電気通信」(42.9%、前年同月比28.6 ポイント増)の割合も高く、正社員と同様に51業種のなかで唯一、前年同月比増加となった。規模別では、「大企業」は18.3%(同13.8ポイント減)、「中小企業」は19.3%(同9.1ポイント減)、「小規模企業」は19.6%(同9.4ポイント減)となった。全ての規模で1割台となったのは、1月としては2013年以来8年ぶりとなる。

 新型コロナの影響拡大まで人手不足が顕著だった「飲食店」と「旅館・ホテル」も、正社員・非正社員ともに大幅な減少傾向にある。しかし、「旅館・ホテル」に関しては、「緊急事態宣言によるキャンセルが多く、休館が避けられない状況になった」など甚大な影響が出ており、極めて厳しい局面にあり、人手不足割合は大きく減少し、特に正社員は5.3%(前年同月比56.2ポイント減)となり、2006年5月からの調査開始以来、過去最低となった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210209.pdf