借入金残高が「増加した」小企業割合は大きく上昇

 日本政策金融公庫が取引先企業を対象に昨年12月中旬に実施した「小企業の借入に関する調査」結果(有効回答数6773社)によると、金融機関からの借入金残高の増減は、1年前と比べて「増加した」と回答した企業の割合は、56.5%と2019年から34.7ポイント上昇し、「減少した」企業の割合(23.9%)を大きく上回っている。従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「増加した」割合が高くなっている。

 借入金残高の水準に関する認識は、「適正」と考えている企業が全体の55.4%を占める一方、「過大」の割合も40.7%を占める。従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「過大」の割合が高い。今後1年間の借入金残高に関する方針は、「減らす」企業の割合は、44.2%と2019年から13.8ポイント低下。他方、「増やす」企業の割合(15.3%)は5.9ポイント上昇した。従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「増やす」の割合が高い。

 2020年に「借入した」と回答した企業割合は、63.8%と2019年から25.5ポイント上昇。従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「借入した」割合が高い。2020年に借入した企業の、そのうちで最も大きな借入の資金使途(複数回答)は、「日常的な仕入・経費支払」が60.4%と最多、次いで「余剰手元資金の確保」(39.2%)、「赤字補てん」(33.2%)の順。上位3項目の回答割合はいずれも2019年から大きく上昇した。

 従業者規模別にみると、「設備の増設・新設」、「従業員の増員」などでは従業者「10人以上」の企業が最多なのに対し、「日常的な仕入・経費支払」、「赤字補てん」などでは「1~4人」の企業が最多となっている。2020年に借入した企業のうち、借入金利が前年と比べて「下がった」と回答した企業割合は、43.3%と2019年から31.5ポイント上昇。従業者規模別にみると、規模が大きくなるほど「下がった」割合は低くなっている。

 2020年後半に金融機関からの接触頻度が「増えた」と回答した企業割合は、メインバンクについては13.4%、メインバンク以外の金融機関については10.9%。一方、「減った」と回答した企業割合は、それぞれ13.8%、14.7%となっている。いずれの金融機関についても「変わらない」と回答した企業割合がそれぞれ72.8%、74.4%と約7割を占めている。従業者規模別にみると、規模が大きくなるほど「増えた」割合が高くなっている。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_210219.pdf