国税庁は26日、2020年分の路線価等に係る地価変動補正率表を公表し、大阪市内の3地点を減額補正することを明らかにした。同地価変動補正率は、路線価等が時価を上回る状況が確認された地域について、路線価等を補正するために用いる。2020年中に相続、遺贈又は贈与により、上記の地域に所在する土地又は土地の上に存する権利を取得した場合には、路線価に地価変動補正率を乗じた価額に基づき土地等の評価額を算出する。
2020年1月から6月までの間に、路線価等が時価を上回る状況は確認されなかったので、路線価等の補正は行わなかったが、同年7月から9月までの間は、大阪市中央区の心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目の3地域の土地等は、新型コロナウイルスの影響で地価が路線価を下回り、修正が必要と判断したことから、これらの土地等の相続等による取得者は、路線価に地価変動補正率を乗じて土地等の評価額を算出するよう要請している。
2020年10月から12月までの間に相続等により取得した土地等に係る路線価等の補正については、2021年4月に公表する予定。また、名古屋市中区錦3丁目及び大阪市中央区の難波千日前など6地域については、同期間に路線価が時価を上回る可能性があるため、これらの地域の土地等の贈与による取得者は、個別の期限延長により、路線価等の補正に係る公表の日(2021年4月を予定)から2ヵ月以内の申告・納付を認めることとしている。
なお、路線価等の補正の公表前に申告を行い、その後、その公表を受けて改めて計算した結果、納付すべき税額が過大だったことが判明した場合は、「更正の請求」により税額の減額を請求することができる。また、上記大阪市内の9地域及び名古屋市内の1地域以外で、4月に新たに路線価等が時価を上回る地域として公表した場合について、その地域の土地等の贈与を受けた申告者についても「更正の請求」をすることができる。
2020年分の路線価は昨年7月1日に公表されたが、路線価は1月1日時点の評価で、その後の新型コロナウイルス感染拡大による影響は反映されていない。そのため、国税庁は、その後の地価の推移によっては路線価等に対する補正率を定めるなど減額修正を可能にする措置を導入する方針だった。路線価の減額修正は、これまで東日本大震災など災害後に実施された例はあるが、景気変動に伴うものは初めてとなる。
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