2020年中に賃金を引上げた企業は81.5%~厚労省

 厚生労働省がこのほど公表した「2020年賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、2020年中に1人平均賃金を「引き上げた(予定含む)」企業は、過去最高だった前年比▲8.7ポイント減の81.5%となった。1人平均賃金とは、常用労働者の所定内賃金(基本給)の1人当たり平均額で、残業代やボーナスは含まれない。同調査は、常用労働者が100人以上いる企業を対象に今年8月時点で実施し、1670社から有効回答を得たもの。

 1人平均賃金を「引き下げた(予定含む)」企業は前年比2.1ポイント増の2.1%、賃金の改定を「実施しない」は同4.1ポイント増の9.5%となっている。2020年中の1人平均賃金の改定額は前年を652円下回る4940円、1人平均賃金の改定率は同▲0.3ポイント減の1.7%。改定額を企業規模別にみると、「5000人以上」は6086円、「1000~4999人」4925円、「300~999人」4805円、「100~299人」4315円だった。

 管理職の定期昇給制度の有無をみると、「制度あり」の企業が76.8%、「制度なし」が21.7%。制度ありの企業で2020年中に「定昇を行った・行う」企業は67.3%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が8.8%。一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業が82.5%、「定昇制度なし」の企業が16.1%。制度ありの企業で2020年中に「定昇を行った・行う」企業は75.5%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が5.9%だった。

 定昇制度がある企業のうち、「定昇とベア等の区別のある」企業で、2020年中に「ベアを実施した」企業は、管理職で21.5%、一般職で26.0%。また、2020年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施・予定している」企業は10.9%で、対象者別にみると、「管理職のみ」の企業が30.9%、「一般職のみ」が35.0%、「管理職一部と一般職一部」が33.4%となっており、「一般職全員」は8.4%だった。

 2020年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」とした企業が49.0%(前年50.0%)と最も多く、「重視した要素はない」(16.2%)を除くと、次いで「労働力の確保・定着」が8.0%(同9.9%)、「雇用の維持」が8.0%(同6.5%)、「前年度の改定実績」が4.7%(同4.8%)などとなっている。

 同調査結果の概況は↓

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/20/dl/10.pdf