国税庁によると、個人に対する今年6月までの1年間(2019事務年度)の所得税調査は、前事務年度に比べ▲29.4%の43万1千件行われた。そのうち、約61%に当たる26万3千件(前事務年度37万4千件)から▲12.8%の7885億円(同9041億円)の申告漏れ所得を見つけた。その追徴税額は▲5.3%の1132億円(同1195億円)。1件平均183万円(同148万円)の申告漏れに対し23万円(同17万円)を追徴した。
実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前事務年度に比べ▲15.0%の4万3千件を実施、うち約86%に当たる3万8千件から▲3.2%の総額5068億円の申告漏れ所得を見つけ、4.9%増の947億円を追徴。件数では全体の9.9%に過ぎないが、申告漏れ所得金額は全体の64.3%を占めた。調査1件当たりの申告漏れは1190万円と、全体平均の183万円を大きく上回る。
また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前事務年度比▲27.2%の1万7千件行われ、うち1万3千件から▲27.4%の572億円の申告漏れを見つけ、45億円を追徴。1件当たり平均申告漏れは335万円。一方、簡易な接触は、▲30.9%の37万1千件行われ、うち21万2千件から▲25.6%の2245億円の申告漏れを見つけ140億円を追徴。1件当たりの平均申告漏れは60万円だった。
実地調査トータルでは、前事務年度比▲18.9%の6万件の調査を行い、うち5万1千件から▲6.4%の5640億円の申告漏れを見つけ、992億円を追徴。つまり、実地調査件数は全体の13.9%と1割強に過ぎないが、申告漏れ所得全体の7割強(71.5%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることが裏付けられた。
このように、近年の所得税調査の特徴は、高額・悪質と見込まれるものを優先して深度ある調査(特別調査・一般調査)を重点的・集中的に行い、一方で実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による“簡易な接触”で済ます調査方針にある。なお、業種別1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種は、「風俗業」(3373万円)、「経営コンサルタント」(3321万円)、「キャバクラ」(2873万円)までがワースト3。
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https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf