日本経団連が発表した「2019年度福利厚生費調査」結果(有効回答数608社)によると、調査企業が2020年3月までの1年間(2019年度)に負担した福利厚生費は、従業員1人当たり1ヵ月平均10万8517円で、過去最高額だった前年度から▲4.4%減少したことが分かった。同調査は、1995年度から毎年実施し、今回で64回目。回答企業の労務構成は、1社当たり平均従業員数が4525人、平均年齢が42.1歳だった。
調査結果によると、福利厚生費のうち、社会保険料等の企業拠出分である法定福利費は、過去最高額だった前年度比▲4.3%減の8万4392円となった。企業が任意に行う福祉施策に要する費用である法定外福利費は、同▲4.9%減の2万4125円。月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(54万7336円)に対する比率は、福利厚生費全体が19.8%、このうち、法定福利費は15.4%、法定外福利費は4.4%となった。
福利厚生費のうち法定福利費は、現金給与総額の減少(前年度比▲4.6%減)などが影響して減少したが、対現金給与総額比率は15.4%で、昨年に引き続き過去最高率となった。内訳をみると、「健康保険・介護保険」は3万1041円(同▲4.3%減)、「厚生年金保険」は4万6832円(同▲4.4%減)、雇用保険・労災保険は4810円(同▲7.2%減)となり、料率改定のあった子ども・子育て拠出金は1671円(同10.8%増)と増加した。
法定外福利費は、医療・健康費用が3187円(前年度比0.8%増)。法定外福利費に占める割合は13.2%と、1963年度(14.1%)以来の高い数値となり、健康投資に力を入れる企業の姿勢がうかがえた。そのほかでは、「住宅関連」が1万1639円(同▲4.1%減)、「ライフサポート」が5505円(同▲9.8%減)、「文化・体育・レクリエーション」が2069円(同▲2.6%減)などほとんどの項目で減少している。
なお、「通勤手当・通勤費」は従業員1人平均8669円で、前年度と比べ▲3.7%減、「退職金(退職一時金と退職年金の合計額)」は4万7354円、同2.4%増だった。また、「カフェテリアプラン消化ポイント総額」は円換算で4660円となり、利用実績が分かる導入企業は104社だった。カフェテリアプランとは、従業員に一定の福利厚生利用枠と給付の選択肢を与え、従業員が個々の必要性に応じて給付を選択する仕組み。
同調査結果の概要は↓