負債1千万円未満倒産、1~10月で年間最多件数更新

 東京商工リサーチが発表した調査結果によると、2020年1~10月の「負債1000万円未満」の企業倒産は542件(前年同期比26.6%増)で、2000年以降で年間最多だった2010年の537件を超えた。四半期別では、1~3月は134件(前年同期比0.7%増)と微増にとどまったが、緊急事態宣言の発令で外出自粛や営業時短などの影響が直撃した4~6月168件(同51.3%増)、7~9月187件(同36.4%増)に急増した。

 10月までの月平均は54件で、10月で年間最多の2010年の537件を抜き、最多件数を更新した。負債1000万円未満の倒産は、代表者の死亡や体調不良など事業承継がスムーズに進まない企業も少なくない。なお、「新型コロナウイルス」関連破たんは、2~10月で累計34件判明。また、産業別では、10産業のうち、小売業、金融・保険業、不動産業を除く7産業で前年同期を上回った。

 最多は、「サービス業他」の262件(構成比48.3%)で、ほぼ半数を占めた。「飲食業」(48→88件)、理容業を含む「生活関連サービス業,娯楽業」(30→40件)などで、増加が目立った。次いで、「建設業」77件(構成比14.2%)、「小売業」53件(同9.7%)、「卸売業」49件(同9.0%)、「情報通信業」47件(同8.6%)と続く。増加率では、「卸売業」が104.1%増(24→49件)、次いで、「サービス業他」43.9%増(182→262件)の順。

 形態別では、「破産」が527件(前年同期比26.0%増)。倒産に占める構成比は97.2%。次いで、「民事再生法」の11件で、全てが個人企業の小規模個人再生手続きで、法人の手続きはなかった。このほか、「取引停止処分」3件、「特別清算」1件。負債1000万円未満では、企業体力が乏しい小・零細企業が多く、業績低迷から抜け出せず、事業継続を断念し、消滅型の破産を選択するケースが多い。

 原因別では、最多は「販売不振」の383件(前年同期比17.1%増)。倒産に占める構成比は70.6%。以下、「他社倒産の余波」が61件(同84.8%増)。グループの中核企業に連鎖し、倒産するケースが大半。また、「事業上の失敗」が36件。業歴が浅く、事業基盤を築くまでには至らなかった企業も多い。そのほか、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が21件。代表者の死亡・病気などを含む「その他」が21件だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201110_06.html