今冬のボーナス、リーマンショックを超える減少幅に

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した2020年冬のボーナス見通しによると、厚生労働省「毎月勤労統計調査 」ベースで見た民間企業(事業所規模5人以上)の2020年冬のボーナスは、一人あたり平均支給額が34万7806円(前年比▲10.7%)と新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化し、大きく減少するとみられる。減少幅もリーマンショックの影響で大きく落ち込んだ2009年並みまで拡大すると予想される。

 ボーナス支給額に大きく影響する企業業績は、コロナ禍のあおりを受けて急激に悪化。特に中小企業における利益の減少が大きいほか、宿泊業などの観光関連の業種や飲食サービス業などは、コロナ禍において需要の減少が急激であり、かつ先行きも不安を抱えたままの状況にある。このため、中小企業、サービス業を中心に冬のボーナスを大幅に削減、あるいは支給を見送るといった動きが本格化すると予想される。

 さらに雇用情勢が足元で悪化を続けており、企業が働き手を集めるためにボーナスを増額する動機を持ちにくくなっていることも、ボーナス支給額の下押し要因になる。一方で、2019年末の 内部留保は 、リーマンショック前の2007年末の1.77倍まで増加しており、大企業、非製造業を中心に一時的なショックにも耐えられる強固な財務状況をつくりあげてきた。これらはボーナス額の減少を和らげる要因といえる。

 業種別では、製造業では46万4871円(前年比▲9.2%)、 非製造業では32万3719円(同▲11.1%)と、ともに減少する中で、新型コロナウイルス感染症流行の影響をより大きく受ける非製造業での減少幅のほうが大きくなると見込まれる。なお同様に冬のボーナスが大きく減少したリーマンショック時(2009年)は、製造業の落込み(前年比▲14.5%)が激しく、今回は対照的な結果となりそうだとみている。

 以上のように一人当たり支給額の減少に加え、コロナ禍の中での雇用者数増加の頭打ちも相俟って、2013年以降、堅調に増加していた冬のボーナスの支給総額は減少に転じるとみられる。冬のボーナスの支給労働者数は4257万人(前年比▲2.4%)と11年ぶりに減少し、その結果、2020年冬のボーナスの支給総額( 一人当たり支給額×支給労働者数)は、14.8兆円(同▲12.8%)と大きく減少すると見込まれている。

 2020年冬のボーナス見通しは↓

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2020/11/bonus_2011.pdf