企業の39.8%がテレワークを導入、業種等で格差大

 帝国データバンクはこのほど「テレワークへの取組み状況」をまとめたレポートを発表した。それによると、2020年、日本において政府や行政、企業のいずれもデジタル化の遅れが顕在化した。一方で、企業の75.5%が新型コロナウイルスの感染拡大にともない、デジタル施策に取り組んでいる。特に、在宅勤務の広がりで、テレワークなどリモート設備の導入は新しい働き方として一段と注目される。

 帝国データバンクの調査によると、企業の39.8%が新型コロナの感染拡大を機にテレワークなどリモート設備の導入に取り組んでいた。しかし、テレワーク等の導入状況は業種により大きな違いがみられる。インターネット接続業などを含む「電気通信」(77.8%)のほか、「情報サービス」(75.2%)、「放送」(71.4%)では導入企業の割合が7割を超えている一方、「自動車・同部品小売」(18.5%)は2割を下回っている。

 さらに、「専門商品小売」(20.3%)や「飲食料品小売」(20.3%)など小売業、「飲食店」(22.2%)や「旅館・ホテル」などのサービス業などの業界ではテレワーク等の導入率が低位にとどまる。企業からは、「テレワーク、リモートワーク需要増加による販売増」(電気通信)といった声がある一方、「業種的にテレワークなどできない」(ガソリンスタンド)など、事業内容による導入の困難さを指摘する意見も聞かれるという。

 それでは、テレワーク等の導入の有無において、どのような特徴がみられるのか。レポートでは、同調査に回答した1万2000社をサンプルとして、回帰分析を実施した。結果は、テレワーク等の導入に対して、従業員数が多い企業ほど導入率が高く、従業員数が1000人増加すると導入確率は0.209%ポイント上昇する。また、製造業は非製造業よりも導入確率が0.062%ポイント低い。

 このほか、中小企業は大企業と比較して導入確率が0.335%ポイント、小規模企業は大企業より0.786%ポイント低い傾向があることが示唆される。レポートは、「新型コロナウイルスの感染拡大などに伴い、多くの企業でテレワーク等の導入を進めているが、本レポートで業種により導入状況が異なるほか、従業員数で導入確率に大きな違いがあることが分かった。中小企業や小規模企業が導入しやすい政策が一段と必要」と指摘している。