1~8月の休廃業・解散企業は年間最多更新の勢い

 東京商工リサーチがこのほど発表した「休廃業・解散企業動向調査(速報値)」結果によると、2020年1~8月に全国で休廃業・解散した企業は3万5816件(前年同期比23.9%増)にのぼったことが分かった。このペースが続くと、年間5万3000件と初めて5万件を突破し、2000年に調査を開始して以降で最多だった2018年(4万6724件)を大幅に上回る可能性が出てきた。

 2020年1~8月の休廃業・解散は速報値で前年同期比23.9%増と、大幅に増加した。政策的な支援効果で、1~8月の企業倒産は落ち着いて推移し、当初の見込みを下回り、年間8000~1万件で着地する公算が強い。だが、増勢をたどる休廃業・解散を加味すると、2020年は倒産や休廃業・解散により市場から撤退する企業は、2000年以降で過去最多だった2018年の5万4959件を大幅に更新し、初めて6万件を超える事態も想定される。

 2020年1~8月に休廃業した3万5816件を産業別でみると、トップは「サービス業他」の1万1144件(構成比比31.1%)。「建設業」が6327件(同17.7%)、「小売業」が4511件(同12.6%)、「製造業」が3848件(同10.7%)、「卸売業」が3414件(同9.5%)と続く。増加率でみると、「金融・保険業」が前年同期比45.9%増(1185件)。以下、「建設業」の27.9%増、「サービス業他」の27.4%増、「運輸業」の22.9%増(595件)と続く。

 さらに産業を細分化した業種別でみると、母数500件以上で増加率が最も高いのは、「金融商品取引業、商品先物取引業」で、前年同期より67.2%増の756件。このうち、303件は合同会社で300件が解散だった。次いで、「政治・経済・文化団体」で、同52.8%増の1813件。このうち、1535件を特定非営利活動(NPO)法人が占める。NPO法人は、経営基盤が整っていない法人も多く、コロナ禍が直撃した可能性がある。

 倒産や休廃業・解散は、市場の新陳代謝の一環とも言えるが、地域経済の根幹を支える企業数の減少は、雇用や消費など経済的に大きな影響を及ぼす。コロナ禍の長期化が予想されるなか、休廃業・解散の増加は避けられない。再チャレンジ支援と同時に、年齢的に引退の時期を迎えた高齢の経営者や従業員への支援など、経済政策と社会福祉を絡めた、複層的な議論が必要になっている。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200923_01.html