帝国データバンクが7月後半に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1732社)によると、現在の従業員の過不足状況は、正社員について「不足」していると回答した企業は30.4%となり、前年同月から18.1ポイント減少し7月としては4年ぶりの3割台に低下した。「適正」と回答した企業は46.8%で同4.6ポイント増加し、半数近くの企業が人手は適正と感じている。
「不足」した企業を業種別にみると、「建設」が51.9%でトップとなり、唯一5割を上回った。次いで、「メンテナンス・警備・検査」(48.1%)、「教育サービス」(48.0%)、「農・林・水産」(47.1%)など7業種が4割台で続いた。上位となった10 業種中で8業種は人手不足割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と、スーパーマーケットを含む「各種商品小売」の2業種は増加している。
人手不足割合を月次の推移でみると、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され経済活動が停滞した4月に、正社員の人手不足割合は大幅に減少。緊急事態宣言が続いた5月もさらに減少し、5月25日の全国解除を経て6月以降も3割前後で推移。非正社員も、4月以降はほぼ横ばいが続いている。業種による差はみられるものの、「営業案件が減り人手が余ってきている」(労働者派遣、大阪府)といった声が挙げられている。
非正社員が「不足」していると回答した企業は16.6%となり(前年同月比13.2ポイント減)、2013年2月(16.6%)の水準まで減少した。「適正」は62.2%(同0.4ポイント減)でほぼ横ばいとなった一方で、「過剰」は21.2%(同13.5ポイント増)となり大きく増加している。また、業種別にみると、スーパーマーケットを含む「各種商品小売」は47.6%となり、最も高かった。前年同月より14.6ポイント減少も、他業種より割合が高かった。
次いで、「教育サービス」(43.5%、前年同月比7.8ポイント増)が続き、以下、「家具類小売」(40.0%、同5.5ポイント減)も4割台となったほか、「飲食店」(38.6%、同41.4ポイント減)、「飲食料品小売」(37.1%、同26.5ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(36.7%、同18.1ポイント減)、「医薬品・日用雑貨品小売」(33.3%、同14.5ポイント減)、「娯楽サービス」(33.3%、同27.8ポイント減)などが3割台で続いた。
これまで人手不足の割合が1位で推移してきた「飲食店」では、1月時点の76.9%から緊急事態宣言が発出された4月に大きく減少して16.4%となった。緊急事態宣言解除後徐々に客足が戻ったこともあり、6月以降やや上昇傾向にある。同様に人手不足が顕著だった「旅館・ホテル」では、正社員・非正社員ともに1月の時点で6割以上の企業で人手不足を感じていたが、4月にかけて大きく減少し、1割台で横ばいの推移が続いている。
同調査結果は↓