東京商工リサーチが発表した「企業のメインバンク調査」結果によると、国内152万8043社のメインバンクは、「三菱UFJ銀行」が12万4691社(シェア8.1%)で調査開始以来、8年連続でトップを守った。2位は「三井住友銀行」の9万6992社(同6.3%)、3位は「みずほ銀行」の7万9760社(同5.2%)、4位は「りそな銀行」の3万7670社(同2.4%)、5位は地銀トップの「北洋銀行」の2万5198社(同1.6%)だった。
業態別にみると、銀行は3メガバンクとりそな銀行の大手行が上位を独占。続いて、地方・第2地銀トップの北洋銀行が続く。信用金庫は、「京都中央信金」が8140社でトップ。次いで、「多摩信金」の6797社、「大阪シティ信金」6734社。信用組合では、「茨城県信組」が2989社で大差のトップ。次いで、「新潟縣信組」が1239社、3位に「広島市信組」が1237社、4位に「山梨県民信組」が1212社と僅差で続き、2位争いが激化している。
1万社を超えるメインバンクは32行と農業協同組合、うち3万社を超えたのは、大都市で圧倒的な地盤を築く3メガバンクとりそな銀行。2万社超は北洋銀行、千葉銀行、福岡銀行の有力地銀3行だった。また、金融再編の動きも加速。金融グループの上位に変動はないが、信金再編が進む静岡の企業のメインバンクは、静岡銀行がダントツのトップで、2位に2019年1月に合併した浜松磐田信金、3位は同年7月合併のしずおか焼津信金が入った。
台風の目は、ネット銀行などを展開するSBIホールディングスの「地銀連携」だ。提携が公表された島根銀行、福島銀行、筑邦銀行、清水銀行のほか、約10行の提携構想を打ち出している。新型コロナに伴う企業救済策で、金融機関の重要性が再認識されている。ただ、経営が悪化した企業への貸付金、リスケ対応は、将来の与信コスト増大や収益力への影響が懸念されるだけに、「新型コロナ」が金融業界の再編を促す可能性も高まっている。
なお、各年度(4~3月)に倒産した企業(負債1000万円以上)のメインバンクを分析した結果、2019年度の倒産件数は、地方銀行が構成比31.7%で最多、信用金庫24.9%、都市銀行21.7%、第二地銀9.6%、信用組合2.6%の順。2020年3月末の業態別メインバンクの取引社数を分母に、倒産企業数を割った「倒産比率」は、信用組合が0.38%で最多、次いで信用金庫0.36%、第二地銀0.31%、都市銀行0.30%、地方銀行0.25%の順となった。
経営環境が直撃しやすい小・零細企業の支援を続ける信用組合や信用金庫の倒産比率が高まる傾向にある。ただ、その一方で増収増益企業率は上昇しており、地域密着のコンサルティング機能を発揮し、業績改善が進む取引先も多いことを示している。
同調査結果は↓