国税庁は27日、2020年9月11日付の「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明を公表した。同通達では、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の適用上、中小企業者に該当するかどうかの判定は、特定事業継続力強化設備等の取得又は製作若しくは建設をした日及び事業の用に供した日の現況によるものとする項目が新設されている。
2019年度の税制改正において、中小企業者の災害に対する事前対策のための防災・減災設備への投資に係る税制上の措置として、中小企業等経営強化法等一部改正法の施行日(2019年7月16日)から2021年3月31日までの期間内に、認定事業継続力強化計画等に記載された特定事業継続力強化設備等の取得等をして事業の用に供した場合には、事業供用日を含む事業年度において取得価額の20%の特別償却ができる制度が創設された。
この措置での「中小企業者」であるかどうかの判定は、資本金等の額又は従業員の数といった外形的基準で行うこととされている。その判定の時期として、例えば、(1)期首、(2)特定事業継続力強化設備等の取得等をした時、(3)同強化設備等を事業の用に供した時、(4)期末などが考えられるが、これらのうち中小企業者に該当していた時期と該当していない時期とがあるような場合に、この判定をいつの時点で行うべきかという疑問が生じる。
ところで、同措置は、中小企業者が行う設備投資に対する税制上の優遇措置であり、中小企業者であるという現況の下に特定事業継続力強化設備等の取得等をして事業の用に供した法人につき、期末において中小企業者に該当しなくなったとして同措置の適用を受けられないとすることは、その法人に思わぬ税負担を強い、ひいては設備投資計画の修正を余儀なくさせる結果をも生ずることとなり、同措置の趣旨に合致しないこととなる。
そこで、同通達において、中小企業者に該当するかどうかの判定は、その特定事業継続力強化設備等の取得等をした日及び事業の用に供した日の現況により行う旨を明らかにしている。したがって、特定事業継続力強化設備等の取得等をした日及び事業の用に供した日において、中小企業者に該当していれば、期首又は期末において中小企業者に該当していなくても同措置の適用は認められるということになる。
しかし一方で、その取得等をした日において中小企業者に該当していたが事業の用に供した日には中小企業者に該当しなくなった場合や、その事業の用に供した日には中小企業者に該当するものの、その取得等をした日においては中小企業者等に該当していなかった場合には、同措置の適用はないということになる。