コロナ禍の中、業種別にみた信用金庫の資金繰り支援

 信用金庫の貸出金について、6月末の業種別データ(速報)がまとまった。それによると、6月は、感染拡大の第2波が懸念される中で、社会・経済活動が徐々に再開された時期だった。また、5月には地方公共団体の制度融資を活用して信用金庫など民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度が始まるなど、大型連休後から6月にかけては、信用金庫による中小企業向け資金繰り支援がさらに進んだ時期でもあった。

 貸出先別の貸出金動向をみると、企業向け資金繰り資金(運転資金)の伸び率は、4月末の前年同月比3.7%、5月末の同9.6%からさらに伸び率を高めて、6月末には同14.3%にまで高まった。リーマン・ショック(2008年9月)時は、5ヵ月後の09年2月に企業向け運転資金が同5.3%にまで伸び率を高めていた。今回は、5月、6月とこれを大きく上回っており、信用金庫による機動的な資金繰り支援が行われている。

 さらに、業種別に資金繰り資金(運転資金)の動向をみると、6月末の前年同月比伸び率は、主要業種で最も高かったのは「飲食業」で、72.1%。外出自粛による来店客の急減、営業自粛要請のため、早い時期から売上が急減した店舗が多かったためとみられる。2番目に伸び率の高い「生活関連サービス業、娯楽業」は、30.5%の伸びを示した。理容・美容業や旅行業など個人対象サービス、及びスポーツ施設映画館・劇場などの娯楽業からなる。

 3番目に伸び率が高かったのは「宿泊業」で、伸び率は27.1%。例年、訪日外国人旅行者が急増する春節の大型連休(1月下旬)にはすでに感染が拡大していた地域があり、インバウンド需要がまず急減した。4番目の「情報通信業」は、25.5%の伸び。情報通信業には、通信業、放送業のほか、ソフトウエア業、情報処理・情報提供サービス業などの情報サービス業、インターネット附随サービス業が含まれる。

 5番目の「教育・学習支援業」は、25.2%の伸び率。この業種には、小中学校、高校・大学など教育機関のほか、幼稚園、学習塾、音楽・スポーツ教室なども含まれる。なお、資金繰り資金の伸びが相対的に高い業種は、宿泊業を除いて1先当り貸出額が比較的小さい業種が多い。この間の信用金庫の資金繰り支援は、新型コロナの影響をより直接的に受けた業種、比較的小規模な事業者に対して、機動的な対応をしてきたことがうかがえる。

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