2019年度精神障害の労災申請は過去最多の2060人

 仕事上のストレスが原因でうつ病などの精神障害等を発症し、2019年度に労災申請した人は前年度に比べ240人多い2060人となり、過去最多を更新したことが、厚生労働省が発表した2019年度における過労死等の労災補償状況で分かった。うち未遂を含む自殺者は同2人増の202人だった。また、業務上の労災として認定された人は、前年度を44人上回る過去最多の509人となり、このうち未遂を含む自殺者は同12人増の88人だった。

 労災申請者について、業種別(大分類)にみると、「医療・福祉」が426人で最多、次いで、「製造業」352人、「卸売業、小売業」279人の順に多い。職種別(大分類)にみると、プログラマーなどの「専門的・技術的職業従事者」が500人で最多、次いで、「事務従事者」465人、「サービス職業従事者」312人など。年代別では、「40~49歳」が639人、「30~39歳」が509人と働き盛り世代が目立ち、次いで「20~29歳」が432人で続いた。

 認定を受けた509人の発症の原因をみると、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」79人(うち自殺8人)が最多、次いで、「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」68人(同20人)、心理的負担が極度のものなど「特別な出来事」63人(同9人)、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」55人、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」42人(同12人)のほか、「セクハラを受けた」(42人)も目立った。

 一方、過労による脳・心臓疾患で労災を請求した人は、前年度に比べ59人多い936人で、5年連続で増加。業務上の労災として認定を受けた人は同22人少ない216人で、3年連続で減少したが、うち過労死は同4人多い86人だった。労災認定者を業種別(大分類)にみると、「運輸業、郵便業」が68人、「卸売業、小売業」が32人、「製造業」が22人、「宿泊業、飲食サービス業」が21人、「建設業」が17人の順に多い。

 また、労災認定者についてみると、職種別(大分類)は、「輸送・機械運転従事者」が68人で最多、次いで「サービス職業従事者」26人、「専門的・技術職業従事者」26人など。年齢別では、「50~59歳」が91人(うち死亡37人)、「40~49歳」が67人(同26人)、「60歳以上」が42人(同15人)など。1ヵ月平均の残業時間は、「80時間以上100時間未満」が76人(同34人)、「120時間以上140時間未満」が41人(同20人)などだった。

 同労災補償状況については↓

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11975.html