中企庁、20年版中小企業白書・小規模企業白書を公表

 中小企業庁は、2020年版中小企業白書・小規模企業白書を取りまとめ、24日閣議決定されたことに伴い公表した。2020年版白書では、中小企業・小規模事業者に期待される「役割・機能」や、それぞれが生み出す「価値」に着目し、経済的な付加価値の増大や、地域の安定・雇用維持に資する取組みを調査・分析した。また、新型コロナウイルス感染症の影響や、中小企業・小規模事業者における具体的な対応事例等についても掲載している。

 白書によると、企業の新陳代謝が進む一方で、生産性の高い企業の廃業も生じている。中小企業の目指す姿は多様であり、期待される役割や機能を意識した支援が重要になる。経営者の高齢化や後継者不足を背景に、年間4万者以上の企業が休廃業・解散しているが、このうち、約6割は黒字企業。培ってきた技術や従業員などといった中小企業の貴重な経営資源を、次世代の意欲ある経営者に引き継いでいくことが重要と指摘した。

 また、新たな価値を生み出す中小企業として、(1)賃上げと利益拡大の両立を図るためには、付加価値の増大が不可欠、(2)製品・サービスの差別化や新事業展開により、新たな価値を生み出すことが重要、(3)異業種企業や大学との連携、人材への投資が、中小企業の可能性を拡大、(4)製品・サービスの優位性を顧客に伝える取組みや、取引条件の見直しが重要との考えを示している。

 新型コロナウイルス関連については、全国1050ヵ所に設置している「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」には3月末までに30万件近い相談(ほぼ全て「資金繰り」関連)が寄せられているという。業種別にみると、「飲食業」(28.5%)、「卸売業」(21.5%)、「宿泊業」(17.9%)、「貨物運輸業」(17.8%)などからの相談が多い。宿泊業や飲食サービス業では、今後半年間で資金繰り難が深刻化する可能性があると指摘している。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、中国の生産や貿易が減少し、関係するわが国の中小企業にも大きな影響を及ぼしている。中国からの本年2月の輸入額は6734億円と前年同月から▲47.1%減少。特に「衣類及び同附属品」(▲65.7%)は大きく減少した。また、インバウンドを始めとする国内消費が大幅に減少。本年2月の訪日外客数は108.5万人と同▲58.3%減少。「中国」(▲87.9%)や「韓国」(▲79.9%)の減少が大きかった。

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