企業の26%で全面禁煙を実施、完全分煙が半数超に

 来月4月から改正健康増進法の全面施行が予定されており、多くの施設では原則屋内禁煙や適切な分煙などが義務付けられる。帝国データバンクがこのほど発表した「企業における喫煙に関する意識調査」結果(有効回答数1万704社)によると、自社の本社事業所又は主要事業所の喫煙状況は、適切な換気がされている喫煙場所がある、又は屋外に喫煙場所を設けている「完全分煙」が53.9%でトップだった。

 社内において喫煙は不可とする「全面禁煙」は26.2%で4社に1社が導入しており、前回調査(2017 年9月実施)から4.1ポイント増加した。以下、屋内に適切な換気がされていない喫煙場所がある「不完全分煙」が8.9%、決められた時間に指定場所での喫煙が可能となる「時間制分煙」が3.3%で続いた。全面禁煙について規模別にみると、規模が小さい企業ほど全面禁煙を実施している割合が高い。

 全面禁煙を業界別にみると、「金融」が47.5%でトップ、次いで「不動産」(46.6%)も4割台と高かった。以下、「サービス」(39.3%)、「卸売」(31.0%)、「小売」(28.7%)が続き、総じて各従業員との距離が近い職場や、顧客と接する機会が多い業界で高水準が目立つ。地域別では、「南関東」が33.7%で最も高く、次いで「近畿」(27.4%)が続き、大都市を抱える地域で全面禁煙を実施している割合が高い傾向がみられる。

 4月の改正法や条例の施行による自社業績への影響は、「マイナスの影響」は12.9%。「プラスの影響」は2.0%にとどまり、「影響はない」は56.4%で半数超。「マイナスの影響がある」企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が39.3%でトップ、次いで、「飲食店」(36.2%)や「娯楽サービス」(35.1%)などのサービス業に加え、「飲食料品小売」(28.1%)といった小売業など、顧客と接する機会の多い個人向けの業種が上位に並んでいる。

 業績にマイナスの影響がある企業からは、「対応に莫大な費用がかかる」(旅館、大阪府)や、「対応にあたって設備の設置・改善・改修等の費用や時間が必要」(石油卸売、岐阜県)、「改装費用がかかる一方で、売上が減少してしまう」(貸事務所、東京都)など、設備投資面による費用を懸念する意見が聞かれた。他方、「飲食店における喫煙ブース設置による改装需要が発生している」(家具・建具卸売、東京都)といったプラスの影響も一部みられた。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200311.pdf